労働判例ジャーナルが紹介されました。

平成28年7月4日付の労働新聞紙上において、同志社大学教授の土田先生が労働判例ジャーナルの紹介をしてくださいました。

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『実に多様な労働判例』土田道夫氏 同志社大学 法学部・法学研究科教授

(労働新聞 平成28年7月4日付「ぶれい考」より引用)

 

 私は、2014年から、ジュリスト(有斐閣)の「重要判例解説」誌上で「労働判例の動き」を執筆している。過去1年間の労働判例をチェックした上、重要な判例をピックアップして解説するという仕事であり、結構大変な仕事である。

 ところが、私が執筆を開始した2014年には、この仕事がさらに大変になった。2012年に「労働判例ジャーナル」誌(労働開発研究会)が創刊されたからである。従来は、「労働判例」誌(産労総合研究所)・「労働経済判例速報」誌(経団連事業サービス)を中心に、時々労働判例が載る「判例時報」誌・「判例タイムズ」誌等をチェックしていれば済んだのだが、「労働判例ジャーナル」誌のおかげで、チェックすべき媒体が増えることになった。

 もっとも、それだけなら判例誌が1冊増えたというだけの話だが、仕事が大変になった理由はそれだけではない。というのも、「労働判例ジャーナル」誌は、平均50頁というコンパクトサイズながら、平均20件弱の判例を掲載するからだ。「労働判例」誌は平均100頁弱で平均7件、「労働経済判例速報」誌は平均30頁弱で常時2~3件なので、「労働判例ジャーナル」誌の情報量の大きさが分かる。つまり、チェックすべき判例が飛躍的に増加したのである。

 何故そういう状況になったのかというと、「労働判例」誌が原則全文掲載方針・「労働経済判例速報」誌が全文掲載方針であるのに対し、「労働判例ジャーナル」誌は、冒頭掲載の「注目判例」のみが全文掲載で、後は要旨を掲載し、全文についてはLEX/DBと提携して、そちらを参照させる方針を採用しているからである。この仕組みでは、紙媒体で判決全文を確認できないという不便さもあるが、その代わり、判例をより早く入手できるという速報性のメリットがある。

 しかし、それ以上に思い知ったのは、労働判例の数の多さと多様性である。私を含めて、労働法研究者は、「労働判例ジャーナル」誌を購読するまで、これほど数多くの労働判例が全国の裁判所で出され、これほど多様な労働紛争が発生していることを実感する機会がなかったのではないか。その意味で、「労働判例ジャーナル」誌の刊行は、単なるリーガルリサーチ・サービスの提供にとどまらず、労働法研究者に新たな研究テーマへの取組みを促す契機となるものと思われる。

 そういうわけで、「重要判例解説」の執筆は、「労働判例ジャーナル」誌のおかげで大変になったが、私にとっては、それは「嬉しい悲鳴」に属する事柄である。

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