「入管法改正と外国人労働者の受入れ拡大」

出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)の改正法が2018年12月8日に成立し、2019年4月1日、施行されました。この改正により、新たな在留資格として「特定技能1号」と「特定技能2号」が創設されました。
厚労省によると、2018年10月末現在の外国人労働者数は約146万人で、前年同期よりも14.2%(約18万人)増加しています(2019年1月25日同省公表「外国人雇用状況」より)。これは、労働施策総合推進法に基づく届出件数に基づくもので、2007年の届出義務化後、最多となりました。
従来、我が国は、就労目的での在留資格を、技術・人文知識・国際業務などの専門的・技術的分野に限定して認めていました。もっとも、本来就労できない留学生が資格外活動許可を得てアルバイトをしたり、「永住者」や「日本人の配偶者」などの就労制限のない在留資格を有する外国人が就労したりすることは実態として年々増加しており、また、日本国内全体に広がる人手不足の解消は喫緊の課題となっています。そこで、外国人労働者の受入れを正面から拡大するべく、特定の産業分野について、就労目的での在留資格が追加されることになりました。
「特定技能1号」は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けで、在留期間は通算で上限5年です。「特定技能2号」は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けで、在留期間に上限はありません。
特定産業分野とは、介護、ビルクリーニング、建設、造船・船用工業、農業、外食業などの14分野です(ただし、特定技能2号は、建設と造船・船用工業の2分野のみ受入可)。
外国人労働者の受入れの門戸は広がりましたが、同時に、規制強化も進んでいます。入管法上の要件や手続を正しく理解するのはもちろんのこと、各種労働法令の遵守など企業全体としてのコンプライアンスの維持・強化が一層求められます。
(五三・町田法律事務所 弁護士 町田悠生子)

 

(2019年5月22日 更新)

 

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