育児介護休業法を改正する法律が本年5月24日に成立し、5月31日に公布されました(令和6年法律第42号)。
今回の改正は、育児と介護の双方について事業主の措置等を拡充するものです。育児関係は、2025年4月1日施行分と施行日未定分(公布日から1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日、つまり、2025年11月末までに施行)に分かれますが、介護関係は全て2025年4月1日施行です。
現時点で厚生労働省のWebサイトで公表されている資料は、主に、令和6年改正法の概要、リーフレット「育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法 改正のポイント」、法律新旧対照条文などです。今後、改正法を踏まえて施行規則(厚生労働省令)や指針が策定されますので、改正内容の全貌はまだ確定していません。また、施行までには規定例やQ&Aなども公表されるのではないかと予想されます。
育児関係の改正点は、2025年4月1日施行分は、改正後の条文の並び順に、①子の看護休暇の名称変更・対象者・対象事由等の拡大、②所定外労働の制限(残業免除)の対象者の拡大、③労使協定により時短勤務が困難な業務に従事する労働者を適用除外とする場合の代替措置の選択肢の拡大、④3歳に満たない子を養育する労働者に対する措置の拡充(努力義務)、⑤育児休業の取得状況の公表義務の対象拡大(1000人超→300人超)、です。2025年11月末までの施行分は、⑥妊娠・出産等について申出があった場合における意向の確認と配慮の導入、⑦3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者等に対する措置(柔軟な働き方を実現するための措置等)の導入です。これらのうち、③⑥⑦は新たな導入です。
介護関係の改正点は、改正後の条文の並び順に、①介護休暇を取得できない労働者の範囲(労使協定事項)の限定、②介護を申し出た労働者に対する個別の周知・意向確認の導入、③介護両立支援制度等の早期の情報提供の導入、④介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるようにするための措置の導入、⑤介護を行う労働者に対する措置の拡充(努力義務)で、これらのうち、②③④は新たな導入です。
改正の全体像や位置づけは、後掲資料の「令和6年改正法の概要」の2頁目以下で図式的に示されています。また、本年3月の本コラムでも改正の内容について紹介していますので、合わせてご覧ください。
改正事項は多岐に及び、また、労働者の意向確認やその尊重など、規程改定に留まらない対応が必要となる改正点が育児・介護の両方にまたがっていることが今回の改正の一つの特徴です。施行まで1年を切っている中、改正法対応の作業量はそれなりに多くなると予想されますので、施行規則等の策定状況も見極めつつ、早めに準備を進めておいた方が良さそうです。
※令和6年改正法の概要(厚生労働省Webサイト掲載):こちら
※リーフレット「育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法 改正のポイント」(厚生労働省):こちら
※法律新旧対照条文:こちら
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