10月1日からの主な改正事項(カスハラ・就活セクハラ・パート有期法関係)
秋分の日を過ぎ、日の短さを肌で感じるようになりました。
10月から始まる令和8年度下半期に向け、10月1日より施行・適用される主な改正事項をいくつかご紹介したいと思います。
まずは、カスタマーハラスメントと就活セクハラの防止措置義務化です。前者は労働施策総合推進法の改正、後者は男女雇用機会均等法の改正によるもので、詳しい内容は既にこのコラムでご紹介しました(vol,113)。10月の施行を前に、社内のルール・相談体制作りや社内規程の改正、社員向け研修の実施などに関し私のところにも企業からのご相談が相次いでいます。カスハラも就活セクハラも、既存のハラスメント類型では求められなかった対応が一部必要となりますが(カスハラについては対応の実効性を確保するために必要な抑止のための措置、就活セクハラに関しては求職活動等に関するルールの明確化と周知・啓発)、各社とも概ね漏れなく、また前向きに取り組んでいらっしゃるようです。どちらも時宜に適った改正で、企業としても対策の必要性・有用性を実感しているということではないかと思われます。
次に、主にパート・有期雇用労働法関係でもいくつかの改正点があります。一つは、いわゆる同一労働同一賃金ガイドライン(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針、平成30年厚生労働省告示第430号)の改正です。主な改正内容は、①裁判例を踏まえた記載の見直し(記載の新規追加:退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、夏季冬季休暇、褒賞、記載の充実:賞与、病気休職・休暇)、②通常の労働者の待遇引下げによる待遇の相違解消は望ましくないという趣旨の明確化、③法第8条の「その他の事情」の明確化(職務の成果、能力、経験、合理的な労使慣行等)、④無期雇用フルタイム労働者は法が求める均等・均衡待遇の対象外ではあるが、労働契約締結・変更時の均衡の考慮にはガイドラインの趣旨が考慮されるべきであることの追加、などです。
また、パート・有期雇用労働者に対する労働条件明示に関し、パート・有期雇用労働法6条1項及び同法施行規則は、労働基準法に基づく労働条件明示義務の上乗せを定めていますが、施行規則が一部改正され(本年4月28日公布)、本年10月1日以降、従来の明示事項である昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口に加え、「通常の労働者との間の待遇の相違(内容・理由)等について説明を求めることができる」旨が新たな明示事項として加わりました。この点が追加された労働条件通知書のモデル様式も既に公表されていますので、10月1日以降のパート・有期労働者の雇入れの際には、新たなモデル様式を参照しつつ、漏れのない労働条件明示を行うことが求められます(パート・有期雇用労働法6条1項違反に対しては10万円以下の過料が予定されています)。なお、パート・有期雇用労働者からの求めに応じて説明する際には、10月1日以降は、「資料を活用し、口頭により説明する方法」または「説明すべき事項を全て記載した分かりやすい内容の資料を交付する等の方法」のいずれかで行うものとされました(いわゆる雇用管理指針(平成19年厚生労働省告示第326号)の改正事項)。
パート・有期雇用労働者の処遇改善は、法による均等・均衡待遇の要請を待たずとも、人手不足への対応として一定程度進んでいるようにも思われますが、判例集などを見ますと、近時は、地方の比較的小さな組織においても、均等・均衡待遇について裁判で争われるケースが増えているようです。今回の改正を機に、均等・均衡待遇の要請の存在が労働者に一層浸透していくと思われますので、待遇の棚卸しと説明可能性について、改めて検討し紛争予防を目指す機会とすることが望まれます。
~参考資料~
・厚生労働省作成「事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット」(令和8年7月更新):こちら
・厚生労働省Webサイト「同一労働同一賃金特集ページ」:こちら
・同一労働同一賃金ガイドライン 新旧対照表(上記Webサイト掲載):こちら
・厚生労働省リーフレット「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります」:こちら
・厚生労働省作成 労働条件通知書(一般労働者用:常用、有期雇用型)モデル様式(令和8年10月1日~):こちら