就活セクハラ等の防止に向けた法改正対応

 労働施策総合推進法等の一部を改正する法律(令和7年法律第63号)が2025年6月に成立・公布となり、事業主に対し、就活セクハラやカスタマーハラスメントの防止に向けた一定の措置が義務づけられたこと、この改正が本年10月1日に施行されることを以前のコラムでご紹介しました。

 
 これらの改正について、指針が本年2月26日に告示され、さらに本年4月24日、法や指針等の解釈を明らかにする通達が2本発出されました(就活セクハラについては「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の施行について」(雇均発0424第1号)、カスタマーハラスメントについては「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第10章の規定等の運用について」(雇均発0424第2号))。また、厚生労働省は同日、Q&Aの形式による「ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について(令和8年10月1日適用)」も公表しています(なお、就活セクハラやカスタマーハラスメントだけでなく、既存のハラスメントに関する内容も含まれており、その部分は公表と同時に適用されます。)。

 
 就活セクハラに関し、均等法では、「求職者その他これに類する者として厚生労働省令で定めるもの」が「求職者等」、「求職者等によるその求職活動その他求職者等の職業の選択に資する活動」が「求職活動等」とされ、「求職活動等において行われる事業主が雇用する労働者による性的な言動により求職者等の求職活動等が阻害されること」が就活セクハラ(指針では「求職活動等におけるセクシュアルハラスメント」と表記)であるとされています。「求職者等」には、当然ながら新卒採用だけでなく中途採用を目指す人も含まれますし、「求職者に類する者」として、教育実習や看護実習等の実習を受ける人も含まれます(指針)。また、「求職活動等」には、採用面接や就職説明会への参加、OB・OG訪問、インターンシップへの参加、教育実習・看護実習等の実習の受講などが含まれます(指針)。

 
 次に、就活セクハラにおける「セクハラ」の内容は、基本的には、自社従業員が被害者となる既存のセクハラと同様ですが、指針上、「インターンシップ中に労働者が求職者等を執拗に私的な食事に誘い、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること」が挙げられているところは、やや目新しい点といえるでしょう。

 
 就活セクハラに関して事業主が雇用管理上講ずべき措置の大枠は既存のセクハラと同様ですが、「事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発」の中に「求職活動等に関するルールをあらかじめ明確化し、労働者及び求職者等に周知・啓発すること」が含まれている点は就活セクハラ独自であり、施行までに新たな対応が必要です。どのような事項についてルールを設けるかに関しては、指針上、面談時間や場所の指定、実施体制(複数人で対応することとする等)、求職者等とのやり取りに用いるSNSの種類の指定が例示されており、施行通達においても、特に1対1での面会には就活セクハラ発生のリスクがあるとの言及があります。

 
 就活セクハラは、他のハラスメント以上に、被害者が泣き寝入りせざるを得ないと判断することも多く、被害の実態が特に顕在化しづらい面があることから、就活セクハラをしないことを従業員に求めるだけでなく、セクハラを未然に防止し適正な活動が担保されるよう積極的なルール作りを企業に求めるものといえます。また、定めたルールを自社従業員だけでなく、求職者等にも周知・啓発しなければならないとしている点にも十分な留意が必要です(予防のため、ルールの遵守について求職者等によるチェック機能に期待している面があると考えられます。)。

 
 厚生労働省は2023年3月に「就活ハラスメント防止対策 企業事例集」を公表しています。ここで紹介されている好事例企業10社の具体的取り組みなども参考にしつつ、施行までに確実な対応を進めていくことが求められます。

 

五三・町田法律事務所 弁護士 町田悠生子

 

~参考資料~
 
※就活セクハラ関係
・「事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第52号):こちら
・「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の施行について」(令和8年4月24日・雇均発0424第1号):こちら

 
※カスタマーハラスメント関係
・「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号):こちら
・「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第10章の規定等の運用について」(令和8年4月24日・雇均発0424第2号):こちら

 
※厚生労働省「ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について」(令和8年4月24日公表):こちら

 
※厚生労働省Webサイト「就活ハラスメント防止対策企業事例集を作成しました!~学生向けの周知コンテンツも公開しました~」(2023年3月7日):こちら

 

(2026年05月27日)

 

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