―日本IBM事件東京高裁平成２０年６月２６日判決を契機として―

近年、会社分割による企業組織再編が増加しています。会社分割に伴う労働契約承継は、営業譲渡、合併に比べ、従業員の個別同意が不要である反面、企業に対して様々な事前手続き（商法附則５条、労働契約承継法７条）を講じることを求めています。しかし「どのような内容・手順」で「どこまで」同手続きを講じるべきか不明確な点が多く、企業実務上の課題とされてきました。日本IBM事件東京高裁平成２０年６月２６日判決は、労働契約承継が有効となる会社分割手続きを初めて控訴審において明らかにしたリーディングケースといえ、今後の会社分割・労働契約承継手続実務への影響は計り知れないものがあります。同高裁判決において、会社側代理人を務められた深野和男弁護士に同事件の概要、高裁判決内容等を中心に、企業再編に伴う労働契約承継等をめぐる法的問題と実務上、留意すべき事項についてご解説いただきます。ぜひともご利用ください。