「改正育児介護休業法に対応した施行規則・指針の公表」

 改正育児介護休業法(令和3年法律第58号)に対応した施行規則と指針(子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針)の内容がそれぞれ本年9月30日付で公表されました。また、施行日が未定となっていた出生時育児休業の創設及び育児休業の分割取得に関しては、2022(令和4)年10月1日を施行日とする政令が発出されました。

 

 今般の改正法は、下表のとおり施行日が3段階に分かれています。

 

2022(令和4)年4月1日 妊娠・出産を申し出た労働者に対する個別の周知・意向確認

育児休業を取得しやすい雇用環境の整備

 

2022(令和4)年10月1日 育児休業の分割取得

出生時育児休業(産後パパ育休)の創設

 

2023(令和5)年4月1日 育児休業等の取得状況の公表

 

 施行規則及び指針もこれに対応し、9月30日付け公表分は、2022(令和4)年4月1日施行分と2022(令和4)年10月1日施行分とに分かれています。2023(令和5)年4月1日施行の育児休業等の取得状況の公表に関しても、具体的な公表項目は施行規則に委ねられ、また、指針の対象となっていますので、今後、施行規則及び指針が示されるものと思われます。

 

 施行日が近い2022(令和4)年4月1日施行の改正点について簡単に紹介しますと、今般公表された施行規則では、まず、妊娠・出産を申し出た労働者に対して個別に周知すべき事項は、①育児休業に関する制度、②育児休業申出の申出先、③育児休業給付に関すること、④労働者が育児休業期間について負担すべき社会保険料の取扱いであるとされました。また、個別周知及び意向確認の方法は、面談又は書面の交付を原則としつつ、労働者が希望した場合にはFAX又は電子メール等(電子メールその他のその受信をする物を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信。ただし、印刷できるものに限ります。)の送信も選択できるとされました。これらに関して指針では、取得を控えさせるような形での個別周知及び意向確認の措置の実施は認められない(措置を実施したことにならない)こと、他方で、事業主から労働者に対して意向確認のための働きかけを行えば足りること等が定められています。

 

 次に、育児休業を取得しやすい雇用環境の整備に関して、育児休業申出が円滑に行われるようにするための措置の選択肢は、法に列挙された①育児休業に係る研修の実施、②育児休業に関する相談体制の整備に加え、施行規則において、③従業員の育児休業の取得に関する事例の収集及び従業員に対する当該事例の提供、④従業員に対する育児休業に関する制度及び育児休業の取得の促進に関する方針の周知であることが示されました。これに関して指針では、可能な限り複数の措置を実施することが望ましく、また、短期だけでなく1か月以上の長期にわたる育児休業についても希望通り取得できるように配慮すべきものとされています。

 

五三・町田法律事務所 弁護士 町田悠生子

 

※施行規則・新旧対照表(2022年4月1日施行分):こちら

 

※施行規則・新旧対照表(2022年10月1日施行分):こちら

 

※指針・新旧対照表(2022年4月1日施行分):こちら

 

※指針・新旧対照表(2022年10月1日施行分):こちら

 

※※厚生労働省リーフレット「育児・介護休業法改正ポイントのご案内」:こちら

 

(2021年10月21日)

 

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