厚生労働省によるいくつかの白書の公表
今月のコラムでは、ここ1か月ほどの間に厚生労働省が公表したいくつかの白書についてご紹介したいと思います。
まず、9月29日に公表されたのが「令和8年版 厚生労働白書」です。この白書は、厚生労働行政の現状や今後の課題などについて、国民にわかりやすく周知することを目的としており、令和8年版は、「第1部 これからの医療・介護・福祉の現場で働くことを考える」と「第2部 現下の政策課題への対応」により構成されています。第1部では、高齢者人口がピークを迎え、他方で生産年齢人口の減少が一層進行する中で、今後、医療・介護・福祉サービスは誰によってどのような形で担われていくのか、また、ICTやAIなどのテクノロジーの活用やその効果などについて、2040年頃の現場の姿が展望されています。
なお、厚生労働白書が掲載されているWebページには、直近数年間のデータに基づく「人口100人でみた日本 日本を100人の国に例えてみました。」と「日本の1日 日本で一日に起こる出来事の数を調べてみました。」という表題のファイルも公表されており、これらも非常に興味深いです。例えば後者では、「6歳未満の子どもをもつ親が育児、家事に費やす時間は? 夫1時間54分、妻7時間28分」といった記載もあり、妻が約4倍であることに少なからぬ衝撃を受けました。
次に、同じく9月29日には「令和8年版 労働経済の分析-AI等技術革新が進む中での労働市場の現状と課題-」(労働経済白書)も閣議配付され、公表されました。
続いて、10月9日には「令和7年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」(令和8年版 過労死等防止対策白書)が公表されました。これは、過労死等防止対策推進法に基づき、国会に毎年報告を行っているもので、今回が11回目です。民間企業や公務員の労災補償状況等の紹介や、過労死等防止のための様々な取り組みについて詳細に言及されている300ページ近い白書です。コラムでは遺族の方々の声も紹介されており、胸を打たれます。
このほか、10月2日に開催された労働政策審議会雇用環境・均等分科会には、「令和7年版 働く女性の実情」が資料として提出され、公表されています。今回は、男女雇用機会均等法成立40年を迎えた節目として、女性をめぐる法制度の変遷や働く女性に関するデータについて詳しく記載されています。最後の「まとめ」では、昭和60(1985)年と令和7(2025)年とのデータの比較が簡潔に紹介されており、例えば、女性雇用者数は1548万人から2879万人に(約1.86倍)、女性のいわゆる正社員は994万人から1341万人に(約1.35倍)、正社員以外は470万人から1450万人に(約3倍)増えたとのことです。また、役職者に占める女性の割合は、課長級以上(部長級+課長級)が1.4%から14.0%に、係長級以上(部長級+課長級+係長級)が2.5%から18.4%に上昇したと書かれており、これらの数値の比較により、世の中の確実な変化を感じることができます。もっとも、この割合の倍増に、また40年もかけるわけにはいきません。「まとめ」の末尾にあるように、「女性活躍推進法の改正により、女性の活躍推進に向けた動きはかつてないほど多くの分野で力強く進められているが、こうした活動が一過性のものでなく、継続的かつ新たなステージにふさわしく有意義に展開されることが重要な課題である」とされているとおりだと思います。
~参考資料~
・厚生労働省Webサイト「白書、年次報告書」のページ:こちら
・厚生労働省「令和8年版 労働経済の分析-AI等技術革新が進む中での労働市場の現状と課題-」(労働経済白書):こちら
・厚生労働省Webサイト「『令和8年版 過労死等防止対策白書』を公表します」:こちら
・厚生労働省「令和7年版 働く女性の実情」:こちら
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