改正女性活躍推進法の施行に向けて

 女性活躍推進法の改正法(令和7年法律第63号、2025年6月11日公布)が、いよいよ本年4月1日に施行されます。それに向けてQ&Aなど行政の情報発信が充実してきました。後掲の「女性活躍推進法特集ページ」をご覧いただければと思います。

 
 女性活躍推進法は、10年間の時限立法として2015年8月に制定されました(2016年4月1日に全面施行)。今回の改正法では、法の期限を、2036年3月31日までの10年間延長することとされました。主な背景は、男女間賃金差異が、長期的には縮小傾向ではあるものの、国際的に見るとなお開きが大きいこと、その要因の一つに女性管理職比率の低さがあることなどです。本来は、法による強制がなくても女性が存分に活躍できる社会であることが望ましいですが、そのような社会の実現には、もうしばらく法の力に頼る必要があるということだと理解できます。

 
 情報公表に関する改正点も、上記の背景を踏まえたものとなっています。まず、男女間賃金差異に関しては、現在は常用労働者301人以上の企業に義務付けられていますが、これが101人以上の企業に拡大されます。また、女性管理職比率の情報公表は、現在は女性活躍推進法上は必須ではありませんが、改正法は、101人以上の企業にこれを義務付けました(なお、男女間賃金差異も女性管理職比率も、2023年3月期決算以降、金融商品取引法に基づく内閣府令に基づき、有価証券報告書に記載すべきものとされています。)。いずれも、これらの改正が施行される2026年4月1日以後、最初に終了する事業年度の実績を、終了後概ね3か月以内に公表する必要があります。事業年度が4月1日~3月31日である企業は、2027年3月31日に事業年度が終了しますので、2027年6月末までに情報公表をするということです。また、公表の方法に関しては、求職者等が容易に閲覧できる方法による必要があるため、国が運営する「女性の活躍推進企業データベース」への掲載が最も適切であることが、改正法に対応した改正事業主行動計画策定指針(2025年12月23日告示、以下「改正指針」)で明確化されました(なお、「自社のホームページへの掲載等によることを妨げるものではない。」との記載もあります。)。

 
 女性活躍推進法は、情報の公表だけを求めるものではなく、情報の公表を通じて、企業が自社の状況を把握し、改善に向けた取り組みにつなげるというPDCAサイクルを回すことを促すものです。この観点から、数値の公表だけでなく、数値の背景にある事情の開示(いわゆる「説明欄の活用」)が推奨されており、改正指針では「単に数値の情報を公表するだけでなく、要因及び課題の分析の結果等のより詳細な情報や補足的な情報を公表することも可能であり、事業主はこのような追加的な情報公表を行うことが望ましい。」と明記されました。

 
 このほか、今回の改正法では、女性の活躍推進は女性の健康上の特性に留意して行われるべき旨が基本原則として明確化され(公布日に施行済み)、これは大変意義があることと考えています。男女は、年齢を問わず身体的に大きな差があり、その点を無視して(女性自身が解決すべき問題だと片付けて)男性と同等の活躍を求めるのは酷であり、強靱な体力と精神力を運良くたまたま持ち合わせた、ごく限られた女性だけしか活躍できない状況をもたらしかねません。

 
 女性活躍は、進んでいるようで、進んでおらず、本当に難しい問題だと日々感じています。何か一つ、ではなく、様々な要因が複合的に解決に至り、さらには、組織の上下・男女双方の意識も変わって初めて、実現できるものであるようです。改正指針では、職場風土、長時間労働等の働き方の課題、ハラスメントの撲滅、性別を問わず使いやすい特別休暇制度の整備等の女性だけでなく労働者全体を対象とした取り組みなどにも言及があります。数値にとらわれることなく、日々の地道な、複合的な課題認識・課題解決が女性活躍につながること自体の理解がさらに広まっていくことに期待しています。

 

五三・町田法律事務所 弁護士 町田悠生子

 

~参考資料~
 
※厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」:こちら

 
※厚生労働省リーフレット「改正女性活躍推進法等のポイント」:こちら

 
※事業主行動計画策定指針(新旧対照表):こちら

 
※厚生労働ウェブマガジン連載「(女性活躍推進前編)女性活躍の更なる推進に向けて-女性活躍推進法改正で何が変わる?」(2026年2月20日公開):こちら

 
※女性の活躍推進企業データベース:こちら

 

(2026年02月27日)

 

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