主として投資事業を営む東京都内の会社で働いていた労働者が、退職勧奨後の合意退職扱いを不服とした裁判で、東京高等裁判所(松井英隆裁判長)は退職合意の成立を認めた一審判決を維持した。退職願の提出により、確定的な意思表示があったと評価している。労働者は山梨県民信用組合事件(最判平28・2・19)を引用し、収入が高い同社を退職するメリットはなく、自由意思で同意することは通常あり得ないと主張。同高裁は社内での評価や勤務状況を理由に退職勧奨が決定された経緯などを踏まえれば、退職という選択も「不合理と断じられるものではない」と退けている。
提供:労働新聞社
(2024年11月25日)