労働判例ジャーナル98号(2020年・5月)

■注目判例

歩合給から割増賃金額を差し引く賃金制度の違法性

国際自動車(差戻し)事件

■ポイント

 本件は,タクシー運転手の歩合給から時間外労働に対する割増賃金を差し引く賃金制度の適法性が争われた事案であるが,東京高裁(平30・2・15,本誌73号)は,差し戻し審において,本件賃金規則においては,通常の労働時間の賃金に当たる部分と同条の定める割増賃金に当たる部分とが明確に区分されて定められており,割増金の額は,通常の労働時間の賃金に相当する部分の金額を基礎として労基法37条並びに政令及び厚生労働省令に定められた方法により算定した割増賃金の金額を下回らないから,タクシー運転手らに支払われるべき未払賃金はないと判示した。この東京高裁判決の上告審が本判決である。

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目次

◆ 歩合給から割増賃金額を差し引く賃金制度の違法性

国際自動車(差戻し)事件

最高裁第一小法廷(令和2年3月30日)判決

◆ 安全配慮義務違反に基づく損害賠償等請求

池一菜果園事件

高知地裁(令和2年2月28日)判決

◆ 幼稚園園長の労働者性

学校法人信愛学園事件

横浜地裁(令和2年2月27日)判決

◆ 異動後の降格・減給無効未払賃金等支払請求

ニチイ学館事件

大阪地裁(令和2年2月27日)判決

◆ 大学職員の勤務不良等に基づく解雇の有効性

国立大学法人山梨大学事件

甲府地裁(令和2年2月25日)判決

◆ アカハラを理由とする懲戒処分取消請求

国立大学法人鳥取大学事件

鳥取地裁(令和2年2月21日)判決

◆ 雇止め無効地位確認等請求

地方独立行政法人山口県立病院機構事件

山口地裁(令和2年2月19日)判決

◆ うつ病自殺に基づく損害賠償等請求

名古屋市交通局長事件

名古屋地裁(令和2年2月17日)判決

◆ 適応障害発症及びその後の自殺の業務起因性

国・敦賀労基署長(適応障害)事件

福井地裁(令和2年2月12日)判決

◆ 小学校教諭の脳幹部出血発症の公務起因性

地方公務員災害補償基金熊本県支部長事件

熊本地裁(令和2年1月27日)判決

◆ 教授らのパワハラ行為に基づく損害賠償等請求

国立大学法人琉球大学事件

那覇地裁(令和元年12月24日)判決

◆ 解雇無効地位確認等請求と社宅明渡等請求

マイラン製薬事件

東京高裁(令和元年12月18日)判決

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