労働判例ジャーナル77号(2018年・8月)

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■注目判例

日雇派遣および日々職業紹介をめぐる法律問題

凸版物流・フルキャスト事件
東京高裁(平成30年2月7日)判決

■ポイント

 本件は,日雇派遣および日々職業紹介について,多様な問題が裁判で争われた珍しい事案である。リーマンショック後の不況の中での非正規労働者の雇用の不安定性を象徴する問題として日雇派遣が社会的に注目され,労働者派遣法の改正により原則として30日間以内の派遣が禁止されることになった。この結果,日雇派遣は,日々の有料職業紹介に移行していった。本件はまさにそのケースであり,訴えを起こした労働者は,当初は,日雇派遣であり,その後は日々職業紹介によって就労していた。
 本件の労働者の主張の一つは,派遣または有料職業紹介の形式をとっているが,実際には労働者供給にあたるということであった。これは,そもそも日雇派遣および日々職業紹介という仕組み自体を否定的に評価する主張と言える。本件の場合,派遣および職業紹介の登録もネット上で行われ,就労場所または紹介先もメールで伝えられるという形態であり,派遣または職業紹介の事業者との関係が極めて希薄であり,このような仕組み自体に疑問が生じるのもわからないわけではない。しかし,法律論としては無理があり,本判決は,いずれも合法的な仕組みであり,職安法の禁止する労働者供給には当たらないと判断している。

年会費:25,920円(24,000円+税・送料込) ※労働判例ジャーナルは労働法EX+をご契約の方に毎月発行される月刊誌です

目次

◆ 日雇派遣および日々職業紹介をめぐる法律問題

凸版物流・フルキャスト事件

東京高裁(平成30年2月7日)判決

◆ 自死した亡従業員の会社等に対する損害賠償等請求

関西ケーズデンキ事件

大津地裁(平成30年5月24日)判決

◆ 元大学院生の大学及び指導教員に対する損害賠償等請求

学校法人関西大学事件

大阪地裁(平成30年4月25日)判決

◆  元市職員の飲酒運転に基づく懲戒免職処分取消請求

福山市長事件

広島地裁(平成30年4月25日)判決

◆ 元村長に対するパワハラ及びセクハラに基づく損害賠償等請求

損害賠償等請求事件

仙台地裁(平成30年4月24日)判決

◆ 不正行為等に基づく懲戒解雇無効地位確認等請求

埼玉県森林組合連合会事件

さいたま地裁(平成30年4月20日)判決

◆ 国立大学元助教の起訴休職満了後の解雇無効地位確認等請求

国立大学法人B大学事件

大阪高裁(平成30年4月19日)判決

◆ 起立斉唱命令不順守に基づく懲戒免職処分取消等請求

東京都・都教委事件

東京高裁(平成30年4月18日)判決

◆ 不正株主総会決議に基づく失職に対する損害賠償等請求

損害賠償等請求事件

名古屋高裁(平成30年4月18日)判決

◆ 亡労働者の虚血性心疾患発症の業務起因性

国・甲府労基署長事件

甲府地裁(平成30年4月10日)判決

◆ 市会議員のセクハラ行為に対する職員の損害賠償等請求

市議会議員セクハラ事件

東京高裁(平成30年3月22日)判決

◆ 定年退職者の再雇用契約成立に基づく地位確認等請求

九州惣菜事件

最高裁第一小法廷(平成30年3月1日)決定

◆ 大阪市のチェックオフ廃止通告の支配介入該当性

国・中労委(大阪市)事件

東京地裁(平成30年2月21日)判決

◆ パワハラ・セクハラ等に基づく損害賠償等請求

特定非営利活動法人マンボウの会事件

福岡高裁(平成30年1月19日)判決

◆ 施設使用不許可処分の違法性の有無

大阪市教職員組合事件

大阪地裁(平成29年12月20日)判決

◆精神疾患に基づく分限休職処分取消等請求

X市事件

千葉地裁(平成29年12月8日)判決

◆ 従業員の暴言等に基づく会社等に対する損害賠償等請求

いなげや事件

東京地裁(平成29年11月30日)判決

◆ 固定残業性手当の効力と割増賃金等支払請求

サンフリード事件

長崎地裁(平成29年9月14日)判決

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