労働判例ジャーナル51号(2016年・6月)

■注目判例

不利益変更された就業規則に対する労働者の同意と労働条件の変更

山梨県民信用組合事件
最高裁第二小法廷(平成28年2月19日)判決

■ポイント

 労働契約法は,労働契約の合意原則を定め,労働条件の変更も労使合意によることとしている。そして,就業規則の変更は,それ自体が労働条件を変更するものではないとしている。しかし,変更された就業規則に対して労働者が同意した場合に労働条件が変更できるかについては,明文の規定がない。そこで,この場合にも,労使合意原則が適用されるという見解とそれを否定する見解が対立していた。このなかで本最高裁判決(以下,「本件最判」という。)は,変更された就業規則について労働者の同意があれば,労働条件が変更されることを認めたことが注目される。
 ただし,この場合の労働者の同意の認定については,厳しい条件を示した。
 本件最判は,今後,理論的にも実務的にも大きな影響を有するであろう。

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目次

【注目判例】

◆ 不利益変更された就業規則に対する労働者の同意と労働条件の変更

山梨県民信用組合事件

最高裁第二小法廷(平成28年2月19日)判決

◆ 虚血性心疾患による死亡の業務起因性

国・半田労基署長(虚血性心疾患死)事件

名古屋地裁(平成28年3月16日)判決

◆ 正社員登用試験受験機会の付与と慰謝料請求

阪急バス事件

大阪地裁(平成28年2月25日)判決

◆ 精神疾患のある労働者に対する使用者の配慮義務

ワコール事件

京都地裁(平成28年2月23日)判決

◆ 医師に対する退職勧奨の違法性

碧南市事件

名古屋地裁(平成28年2月23日)判決

◆ 違法解雇に基づく損害賠償等請求

ティーディーアイ事件

東京地裁(平成28年2月19日)判決

◆ 雇止め無効地位確認等請求

公益財団法人ラボ国際交流センター事件

東京地裁(平成28年2月19日)判決

◆ 雇止め無効地位確認及び未払賃金等支払請求

シンワ運輸東京事件

東京地裁(平成28年2月19日)判決

◆ 元コーチによる選手引抜とサッカークラブの損害賠償等請求

クリップコーポレーション事件

大阪地裁(平成28年2月16日)判決

◆ 組合の不当労働行為救済命令申立却下等命令取消請求

大阪府・大阪府労委事件

大阪地裁(平成28年2月8日)判決

◆ 注意指導を経ない雇止め無効地位確認等請求

一本堂事件

東京地裁(平成28年1月27日)判決

◆ 元教授の大学に対する説明義務違反に基づく損害賠償請求

学校法人東洋大学事件

東京地裁(平成28年1月27日)判決
◆ 風俗店勤務の女性による違法解雇等に基づく損害賠償請求

有限会社J事件

東京地裁(平成28年1月26日)判決

◆ 芸能事務所から所属アイドルへの損害賠償請求

芸能事務所A事件

東京地裁(平成28年1月18日)判決

◆ 労働協約の一部条項解約の有効性

学校法人桃山学院事件

大阪地裁(平成28年1月13日)判決

◆ 26日間の無断欠勤と懲戒免職の有効性

島本町教育委員会(懲戒免職処分)事件

大阪地裁(平成28年1月13日)判決

◆ アダルトビデオ出演のキャンセルと損害賠償等請求

損害賠償請求事件

東京地裁(平成27年9月9日)判決

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