労働判例ジャーナル41号(2015年・8月)

■注目判例

元社会保険庁職員による分限免職処分取消請求

社会保険庁事件
大阪地裁(平成27年3月25日)判決

■ポイント

 本件は,社会保険庁(以下「社保庁」)の職員らが,社保庁の廃止に伴い,分限免職処分(国家公務員法78条4号「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」,(以下「国公法」)を受けたことを不服として,その取消しと損害賠償を国などに請求した事案である。
 本判決は,これら職員の請求を棄却したが,その結論だけではなく,公務員の廃職・過員を理由とする分限免職処分について,どのような判断枠組み(規範)を示すかが注目された。
 なお,本判決は,判断基準にもとづく具体的検討において,それまで行政機関が行っていた公的事務を国家公務員以外の組織に担わせる場合も,当該事務を職務としていた官職が廃止される場合には,「廃職・過員」にあたるとの判断を示し,また,分限回避義務の履行にあたっては,政府全体ではなく,任命権者である社保庁および厚労省の範囲での検討を行うことでよいとしている。本判決については,その判断基準だけではなく,このような具体的判断も今後の議論の対象となるであろう。

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目次

【注目判例】

◆ 元社会保険庁職員による分限免職処分取消請求

社会保険庁事件

大阪地裁(平成27年3月25日)判決

◆ 高年齢者の継続雇用上の地位確認等請求

日本郵便事件

東京地裁(平成27年4月23日)判決

◆ 黙示の指揮命令と時間外割増賃金等請求

ケン・コーポレーションほか事件

東京地裁(平成27年4月14日)判決

◆ 架空取引に基づく懲戒解雇無効等請求

東芝メディカルシステムズ事件

大阪地裁(平成27年3月31日)判決

◆他社への株式売却を理由とする降格

ゴール事件

大阪地裁(平成27年3月30日)判決

◆労働者の資質と契約期間中の解雇

学校法人プール学院事件

大阪地裁(平成27年3月27日)判決

◆横領行為や詐欺行為等を理由とする懲戒解雇

辻中事件

大阪地裁(平成27年3月27日)

◆ セクハラ・パワハラ行為等と4段階の降格処分

(公財)ブルーシー・アンド・グリーンランド財団事件

東京地裁(平成27年3月27日)判決

◆業務上の機密漏洩に基づく損害賠償請求

レガシィ事件

東京地裁(平成27年3月27日)判決

◆労組の専従役員についての労働者性

管理職ユニオン・関西事件

大阪地裁(平成27年3月26日)判決

◆理事長による就活女性へのセクハラと損害賠償

C高等学校事件

鳥取地裁倉吉支部(平成27年3月26日)判決

◆職務能力不適格を理由になされた解雇無効地位確認等請求

岡崎事務所事件

東京地裁(平成27年3月26日)判決

◆ 業務命令違反を理由とする弁護士秘書の解雇

ホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所ほか事件

東京地裁(平成27年3月24日)判決

◆ 解雇無効と携帯電話の私的利用に基づく損害賠償等請求

大紀工業事件

横浜地裁(平成27年3月19日)判決

◆ パワハラに基づく懲戒処分等無効確認請求

東京スター銀行事件

東京地裁(平成27年3月18日)判決

◆ 厚生年金基金の設立事業所の地位喪失確認等請求

福岡県・佐賀県トラック厚生年金基金事件

福岡地裁(平成27年3月16日)判決

◆ 賃金減額不同意に基づく未払賃金等支払請求

プロポライフ事件

東京地裁(平成27年3月13日)判決

◆ 雇用契約に基づく未払賃金等請求

マラカールインターナショナル事件

東京地裁(平成27年3月12日)判決

◆ 社会保険加入義務違反に基づく慰謝料請求

クレーンインターナショナル事件

東京地裁(平成27年3月10日)判決

◆ 自殺に基づく遺族補償給付不支給処分取消請求

国・柏労働基準監督署長事件

大阪地裁(平成27年3月4日)判決

 

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