労働判例ジャーナル174号(2026年・9月)

■注目判例

在職中の競業避止義務違反を理由とする解雇の有効性

ドリームインキュベータ事件

■ポイント

 本件は,ベンチャービジネスへの投資及びその育成,経営コンサルティング業などを目的とする会社(本件会社)と雇用契約を締結した従業員(本件従業員,令和5年8月1日入社)が,本件会社に対し,本件会社による本件従業員に対する解雇(本件解雇)が無効であるとして地位確認と未払い賃金の支払などを主張したことと,本件会社が本件従業員の退職理由を取引先に告知したことが本件従業員のプライバシー侵害及び名誉毀損に該当するかなどが争点となった事案である。
 本判決は,本件従業員が①許可なく競業他社の役員に就任し,②在職中の競業避止義務に違反する行為を行い,また,③許可なく競業他社のセミナーに登壇しようとしたことなどが就業規則の普通解雇事由である,「従業員が,与えられた職務又は職責を想定程度に果たすことができない場合」に該当するとして,本件解雇に客観的合理的理由があるとし,また,本件会社が,本件従業員には本会社の一般従業員としての適格性すらなく,本件従業員との間に雇用契約を維持するだけの信頼関係はないと判断し,普通解雇を選択したことはやむを得ないものであり,社会通念上相当であるとして,本件解雇を有効と判断した。

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目次

◆ 在職中の競業避止義務違反を理由とする解雇の有効性

ドリームインキュベータ事件

東京地裁(令和8年4月22日)判決

◆ 異動命令先で勤務する義務の不存在確認等請求が斥けられた例

赤帽首都圏軽自動車運送協同組合事件

東京地裁(令和8年3月30日)判決

◆ 試用期間経過後の解雇が無効であるとして,解雇無効地位確認請求が認められた例

日本医療企画事件

東京地裁(令和8年3月27日)判決

◆ 就業規則の不利益変更が無効であるとして,未払賃金等支払請求が一部認められた例

学校法人法政大学事件

東京地裁(令和8年3月26日)判決

◆ 休職期間満了を理由とした解雇が無効であるとして,地位確認請求が認められた例

日本NCRコマース事件

東京地裁(令和8年3月26日)判決

◆ 未払賃金等支払請求が一部認められ(本訴),損害賠償等請求が一部認められた例(反訴)

楽事件

東京地裁(令和8年3月25日)判決

◆ 勤務態度不良等を理由とする解雇無効地位確認等請求が斥けられた例

クラシエ事件

東京地裁(令和8年3月23日)判決

◆ 諭旨解雇及び普通解雇は無効であるとして,地位確認等請求が認められた例

教育図書事件

東京地裁(令和8年3月19日)判決

◆ 就労する意思を喪失しているとして,解雇無効地位確認請求が斥けられた例

スキルエンジン事件

東京地裁(令和8年3月17日)判決

◆ 雇止め無効地位確認等請求が斥けられた例

学校法人国際医療福祉大学事件

東京地裁(令和8年3月13日)判決

◆ うつ病発症に基づく休業補償給付不支給決定処分取消請求が認められた例

国・渋谷労基署長事件

東京地裁(令和8年3月10日)判決

◆ 高い地位,待遇を得ていた人材が余剰人員になった場合の解雇が有効とされた例

JPモルガン証券事件

東京地裁(令和8年3月9日)判決

◆ 試用期間中の解雇が無効であるとして,地位確認請求が認められた例

PJ事件

東京地裁(令和8年3月6日)判決

◆ 管理監督者には当たらないとして,未払割増賃金等支払請求が認められた例

税理士法人原会計事務所事件

東京地裁(令和8年3月4日)判決

◆ 降格処分に伴う給与減額無効未払賃金等支払請求が認められた例

日産証券事件

東京地裁(令和8年2月27日)判決

◆ ハラスメントを理由とする懲戒解雇無効確認等請求が斥けられた例

モルガン・スタンレー・グループ事件

東京地裁(令和8年2月26日)判決

◆ 懲戒解雇無効地位確認請求が認められた例

アースリボーン事件

東京地裁(令和8年2月25日)判決

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