労働判例ジャーナル173号(2026年・8月)

■注目判例

専門業務型裁量労働制の労使協定と過半数代表者の選出手続

松山大学事件

■ポイント

 本件は,多数の争点を含むが,もっとも注目されるのは,専門業務型裁量労働制を導入するための労使協定について,その締結当事者である過半数代表者の選出手続の瑕疵が争点になったことである。本件の原審判決(松山地判令5・12・20 LEX/DB:25596760)は,「過半数代表者の選出手続は,労働者の過半数が当該候補者の選出を支持していることが明確になる民主的なものである必要がある」との規範を示し,平成30年度労使協定については,過半数代表者の候補者の選出を明確に支持している労働者が選挙権者全体の約25%にすぎないことから,その候補者が過半数代表者に選出されていないとの判断を示し,平成31年度労使協定については,過半数代表者選挙を実施した選挙管理委員会の構成に重大な瑕疵があることなどを指摘し,いずれの労使協定も無効と判断した。
 本判決も原審判決の結論を支持した。本判決は,労基法における労働者の過半数代表者の役割が多様であることを考慮して,専門業務型裁量労働制の労使協定の締結当事者としての過半数代表者の選出に限定して検討している。すなわち,「専門業務型裁量労働制に関する労使協定には,労働者の個別的な意思を反映させる必要性が高いから,その労使協定の締結に当たって労働者の団体的な意思を決定する過半数代表者の選出手続にも,高い民主性が要求される」との規範を示して,原審判決の判断を支持したのである。

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目次

◆ 専門業務型裁量労働制の労使協定と過半数代表者の選出手続

松山大学事件

高松高裁(令和8年7月7日)判決

◆ 債権差押命令を発した原決定が相当であるとして,執行抗告が斥けられた例

社会福祉法人恵山恵愛会事件

札幌高裁(令和8年5月7日)決定

◆ 未払退職金等支払請求が認められ(第1事件)損害賠償等請求が斥けられた(第2事件)例

サンキ事件

大阪地裁(令和8年4月27日)判決

◆ 持ち出した会社の文書につき,差止請求が一部認められた例

損害賠償等請求(競業避止義務違反)事件

札幌地裁(令和8年4月21日)判決

◆ 雇止め無効地位確認等請求及び慰謝料等請求が斥けられた例

新菱電機事件

大阪地裁(令和8年4月15日)判決

◆ 職務離脱につき職務専念義務違反により科された懲戒処分取消請求が認められた例

門真市・門真市長事件

大阪地裁(令和8年3月30日)判決

◆ 不適正な事務処理を理由とする懲戒処分に基づく未払給与等請求が斥けられた例

大学法人a大学事件

長野地裁(令和8年3月27日)判決

◆ 看護師の本訴請求は斥けられたが,管理部長の反訴請求が一部認められた例

医療法人健人会事件

大阪地裁(令和8年3月27日)判決

◆ 未払割増賃金等支払請求が一部認められた例

清和プラメタル事件

大阪地裁(令和8年3月27日)判決

◆ 上司のパワハラ行為に基づく損害賠償等請求が一部認められた例

社会医療法人愛仁会事件

大阪地裁(令和8年3月27日)判決

◆ ハラスメントによる双極性障害発症に基づく損害賠償等請求が一部認められた例

草津市事件

大津地裁(令和8年3月27日)判決

◆ 双極性障害発症に基づく休業補償給付不支給処分取消請求が認められた例

国・今治労基署長事件

高松地裁(令和8年3月26日)判決

◆ 亡教諭の上司のパワハラに基づく慰謝料等請求が一部認められた例

東京都・小平市事件

東京地裁立川支部(令和8年3月25日)判決

◆ 再雇用に基づく地位確認等請求が斥けられた例

西日本旅客鉄道事件

大阪地裁(令和8年3月19日)判決

◆ 休職期間満了による分限免職処分取消請求が斥けられた例

長崎県・長崎県知事事件

長崎地裁(令和8年3月16日)判決

◆ 雇止め無効地位確認等請求が斥けられた例

泉陽興業事件

大阪地裁(令和8年3月12日)判決

◆ 賃金は出来高払制であるとして,未払割増賃金等支払請求が一部認められた例

大八物流事件

水戸地裁下妻支部(令和8年2月27日)判決

◆ 退職したものとして,地位確認等請求が斥けられた例

一般社団法人生活救済会(旧名称一般社団法人リアルライフ)事件

東京地裁(令和8年2月6日)判決

◆ 業務懈怠を理由とする解雇無効地位確認等請求が認められた例

BOS Automotive Japan事件

東京地裁(令和8年2月4日)判決

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