労働判例ジャーナル169号(2026年・4月)

■注目判例

定年後再雇用者の基本給・賞与と労契法旧20条

名古屋自動車学校(差戻し)事件

■ポイント

 本件は,無期労働契約の正職員と定年退職後の有期雇用の嘱託職員との労働条件の相違が労契法旧20条に違反するかが争点となった事案である。本件の原判決(名古屋高判令4・3・25本誌126号38頁LEX/DB25592145)は,基本給の相違が6割を超える範囲において,不合理との判断を示した。しかし,最高裁は,メトロコマース事件最高裁判決(最三小判令2・10・13)の示す基本的判断枠組みに基づいて,原判決が本件の正職員と嘱託職員との基本給及び賞与(一時金)の相違について,それらの給与の性質及び目的を十分踏まえておらず,また,労使交渉に関する事情も適切に考慮せず,その相違の一部を労契法旧20条にいう不合理なものに当たるとした判断を誤りとして破棄し,名古屋高裁に差し戻す判断を下した(最一小判令5・7・20本誌139号2頁LEX/DB25572945)。
 そこで,差戻審である本判決は,本事件の最判の指摘に即して,正職員と嘱託職員の基本給及び正社員の賞与と嘱託職員一時金のそれぞれの性質,また,労使交渉の経緯を精査した。そして,原判決が年功的と判断していた正職員の基本給について,職務給の性質が大きく,職務給である嘱託職員のそれと共通する性質があるとし,また,正職員の賞与と嘱託職員一時金も賃金後払いとして共通する性質があるとして,さらに本件嘱託職員らの職務内容が正職員時と変わらず,加えて労使交渉において,本件会社の誠実さを欠く対応から具体的な協議がなかったことを総合的に考慮すると,嘱託職員らの基本給及び一時金が正職員の基本給及び賞与との相違が労契法旧20条に反すると判断したのである。

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目次

◆ 定年後再雇用者の基本給・賞与と労契法旧20条

名古屋自動車学校(差戻し)事件

名古屋高裁(令和8年2月26日)判決

◆ 手続きに重大な瑕疵があるとして,懲戒(停職)処分無効確認等請求が認められた例

学校法人松山大学事件

松山地裁(令和7年12月23日)判決

◆ 大学教員の出向先で勤務する義務不存在確認が認められた例

学校法人日本国際学園事件

東京地裁(令和7年10月31日)判決

◆ 女性用露天風呂の動画撮影を理由とする懲戒免職処分等取消請求が斥けられた例

国・法務大臣事件

東京地裁(令和7年10月30日)判決

◆ 未払賃金等支払請求及び損害賠償等請求が一部認められた例

ティーエッセンス事件

東京地裁(令和7年10月30日)判決

◆ 配転命令拒否に基づく懲戒解雇無効地位確認請求が認められた例

ドルフィンKOTO事件

東京地裁(令和7年10月30日)判決

◆ 変形労働時間制,固定残業代は認められないとして,未払割増賃金等支払請求が一部認められた例

じっこ事件

東京地裁(令和7年10月29日)判決

◆ 未払割増賃金等支払請求が一部認められた例

平野運送事件

東京地裁(令和7年10月29日)判決

◆ 懲戒解雇無効地位確認等請求が認められた例

CLOVER事件

東京地裁(令和7年10月29日)判決

◆ 違法なハラスメントに基づく損害賠償等請求が一部認められた例

損害賠償等請求(セクハラ)事件

東京地裁(令和7年10月23日)判決

◆ 解雇無効地位確認等請求が斥けられ,社宅費用未払分支払等請求が認められた例

ヤマハ事件

東京地裁(令和7年10月20日)判決

◆ 未払割増賃金等支払請求が一部認められ,不当利得等返還請求が一部認められた例

行知学園事件

東京地裁(令和7年10月17日)判決

◆ 雇止め無効地位確認請求が認められた例

UNLIMITED ENTERTAINMENT事件

東京地裁(令和7年10月16日)判決

◆ 未払退職金等支払請求が一部認められた例

三菱自動車ファイナンス事件

東京地裁(令和7年10月15日)判決

◆ 常勤講師と専任教員との間の賃金格差に基づく損害賠償等請求が斥けられた例

学校法人明徳学園事件

大阪高裁(令和7年10月14日)判決

◆ 退職合意成立により地位確認請求が斥けられ,未払賃金等支払請求が一部認められた例

ゴールドマン・サックス・ジャパン・サービス事件

東京地裁(令和7年10月14日)判決

◆ 国土交通省のした休職処分及び人事院のした承認判定の取消請求が斥けられた例

国・国土交通大臣・人事院事件

東京地裁(令和7年10月8日)判決

◆ 遺族補償給付の給付基礎日額を誤ったとして,遺族保障給付支給処分取消請求が認められた例

国・神戸東労基署長事件

東京地裁(令和7年10月2日)判決

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