労働判例ジャーナル159号(2025年・6月)

■注目判例

航空機客室乗務員の休憩時間

ジェットスター・ジャパン事件

■ポイント

 本件は,航空運送事業を営むジェットスター・ジャパン(本件会社)との間で労働契約を締結していた客室乗務員ら(本件客室乗務員ら)が,本件会社から労基法34条1項の定める休憩時間が付与されない勤務を命じられ,これに従事したことにより精神的苦痛を受けたと主張して,本件会社に対し,安全配慮義務違反に基づく損害賠償金などの支払いを求めるともに,現在客室乗務員として本件会社に勤務している本件客室乗務員ら(本件現職客室乗務員ら)が,将来にわたって継続的に,本件会社から労基法34条1項の定める休憩時間が付与されない勤務を命じられるおそれがあると主張して,人格権に基づき,上記勤務を命ずることの差止めを求めた事案である。
 労基則による休憩時間付与義務の免除に関する規定の解釈が争われることは珍しいが,本判決は,本件客室乗務員の勤務が労基則の定める休憩時間付与義務の免除に該当しないことをそれぞれの規定を的確に解釈して結論を導いており,妥当な判断を示したと言えよう。

年間購読料:52,800円(48,000円+税)※送料無料。

目次

◆ 航空機客室乗務員の休憩時間

ジェットスター・ジャパン事件

東京地裁(令和7年4月22日)判決

◆ 熱中症発症後の死亡につき,損害賠償等請求を一部認容した原判決が維持された例

新星興業事件

福岡高裁(令和7年2月18日)判決

◆ 未払割増賃金等支払請求が一部認められ,未払役職手当等支払請求が認められた例

トーアスポーツマシーン事件

大阪地裁(令和7年1月30日)判決

◆ 職種限定合意が存在したとは認められないとして,差止め請求が斥けられた例

大阪府立病院機構事件

大阪地裁(令和7年1月28日)判決

◆ 元自衛官の妻及び子に対する暴行を理由とする懲戒処分等取消請求が認められた例

国・陸上自衛隊北部方面総監事件

札幌地裁(令和7年1月22日)判決

◆ 労働契約上の義務違反及び違法な退職勧奨に基づく損害賠償等請求が斥けられた例

名古屋市立大学事件

名古屋地裁(令和7年1月22日)判決

◆ 管理監督者には該当しないとして未払割増賃金等支払請求が一部認められた例

CaN International税理士法人事件

東京地裁(令和6年12月24日)判決

◆ 定年退職前の給与額との差額賃金相当額の支払請求が斥けられた例

東京都公営企業管理者水道局長事件

東京地裁(令和6年12月23日)判決

◆ 解雇無効地位確認等請求が認められたが,損害賠償等請求が斥けられた例

ムラカミ事件

東京地裁(令和6年12月23日)判決

◆ 雇止め無効地位確認請求が斥けられた例

クオール事件

東京地裁(令和6年12月23日)判決

◆ 地位確認等請求及び不当労働行為に基づく損害賠償等請求が斥けられた例

国立研究開発法人理化学研究所事件

さいたま地裁(令和6年12月20日)判決

◆ 雇止め無効地位確認等請求及び慰謝料等請求も斥けられた例

公益財団法人国際人材協力機構事件

大阪地裁(令和6年12月13日)判決

◆ 解雇無効地位確認請求が認められ,未払賃金等支払請求が一部認められた例

学校法人享栄学園事件

津地裁(令和6年12月12日)判決

◆ 雇止め無効地位確認等請求が斥けられた例

プロントコーポレーション事件

東京地裁(令和6年12月5日)判決

◆ 未払割増賃金等支払請求が一部認められ,不当利得返還請求が斥けられた例

正和自動車事件

東京地裁(令和6年11月29日)判決

◆ 経歴詐称等を理由とする解雇無効地位確認等請求が認められた例

Aston Martin Japan事件

東京地裁(令和6年11月27日)判決

◆ 誠実義務違反に基づく損害賠償等請求が一部認められた例

トラスト事件

東京地裁(令和6年10月23日)判決

一覧に戻る

年間購読料:52,800円(48,000円+税)※送料無料。