労働判例ジャーナル145号(2024年・4月)

■注目判例

研究科の廃止に伴う大学教員に対する整理解雇

学校法人西南学院事件

■ポイント

 本件は、学校法人西南学院(以下「本件法人」という。)との間で無期労働契約を締結し、本件法人が設置していた西南学院大学大学院法務研究科(以下、「法科大学院」という。)において就労していた大学教員(以下、「本件教員」という。)が、令和4年3月に本件法人が法科大学院を廃止した後の同年11月30日付けに解雇(以下「本件解雇」という。)されたため、本件教員が、本件法人に対し、本件解雇は無効である旨主張し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めた事案である。
 本件の争点は、大学教員に対する整理解雇の有効性である。したがって、ジョブ型雇用の典型例とも言える大学教員に対する整理解雇がどのように判断されるかいうことが注目される事案と言える。もっとも、本件教員は、大学教員に就任する以前から弁護士として活動しており、専門職大学院である法科大学院においてその実務経験の評価に基づき採用された実務家教員であるという特殊性があることは留意が必要であろう。
 ジョブ型雇用に対する整理解雇の問題は、今後の重要な論点になっていくと思われるが、典型的なジョブ型雇用の際の整理解雇を判断する上で、本判決が一つの参考例となるであろう。

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目次

◆ 研究科の廃止に伴う大学教員に対する整理解雇

学校法人西南学院事件

福岡地裁(令和6年1月19日)判決

◆ 入試における評価点の改ざん等行為を理由とする懲戒解雇無効等請求が斥けられた例

国立大学法人横浜国立大学事件

横浜地裁(令和6年2月8日)判決

◆ 上司らのハラスメントに基づく慰謝料等請求が一部認められた例

学校法人獨協学園事件

さいたま地裁越谷支部(令和5年12月5日)判決

◆ 懲戒解雇は有効であるとされたが,未払退職手当等支払請求が一部認められた例

日本郵便事件

名古屋高裁金沢支部(令和5年11月29日)判決

◆ 亡労働者に対する注意義務等違反に基づく損害賠償等請求が一部認められた例

丸福石油産業事件

富山地裁高岡支部(令和5年11月29日)判決

◆ 後遺障害の通勤起因性につき,障害補償一時金不支給処分取消請求が認められた例

地方公務員災害補償基金大阪市支部長事件

大阪地裁(令和5年11月22日)判決

◆ 校長がしたパワハラ被害に係る措置・調査等に基づく損害賠償等請求が斥けられた例

大阪府事件

大阪地裁(令和5年11月22日)判決

◆ 元職員のパワハラ等に基づく損害賠償等請求が斥けられた例

大阪市事件

大阪地裁(令和5年11月17日)判決

◆ 退任取締役の退職金慰労金不支給に基づく損害賠償等請求が認められた例

山口放送事件

広島高裁(令和5年11月17日)判決

◆ 横領行為の発覚を隠ぺいする行為に基づく損害賠償等請求が一部認められた例

フォーバンス事件

大阪地裁(令和5年11月16日)判決

◆ 三六協定が過半数要件を満たさなかったこと等に基づく慰謝料請求が斥けられた例

オーエスティ物流事件

大阪地裁(令和5年11月16日)判決

◆ 労働契約締結に基づく未払賃金等支払請求及び不当利得返還請求が斥けられた例

PRESENT2事件

大阪地裁(令和5年11月16日)判決

◆ 人事評価における人事権濫用に基づく損害賠償等請求が斥けられた例

豊中市事件

大阪地裁(令和5年11月15日)判決

◆ うつ病発症に基づく療養補償給付等不支給処分取消請求が認められた例

国・京都上労基署長事件

京都地裁(令和5年11月14日)判決

◆ 雇用契約締結時の虚偽の説明に基づく損害賠償等請求が斥けられた例

ナワショウ事件

大阪地裁(令和5年11月10日)判決

◆ 亡労働者の相続人らの未払割増賃金等支払請求が一部認められた例

アイエスビーサービス事件

東京地裁(令和5年4月12日)判決

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