労働判例ジャーナル126号(2022年・9月)

■注目判例

公務員の懲戒処分と任命権者の裁量権の範囲

氷見市消防職員事件

■ポイント

 本件は,氷見市の消防職員(以下「本件消防職員」という。)が,任命権者であった氷見市消防長(以下「消防長」という。)から,上司及び部下に対する暴行等を理由とする停職2月の懲戒処分(以下「第1処分」という。)を受け,さらに,その停職期間中に第1処分に関する審査請求において自己に有利な証言を得るために上記暴行の被害者である部下に対して威嚇的な面会をしたこと等を理由とする停職6月の懲戒処分(以下「第2処分」という。)を受けたことについて,消防職員が上告人を相手に,第1処分及び第2処分の各取消しを求めるとともに,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案である。
 本判決は,第2処分の非違行為が「懲戒の制度の適正な運用を妨げ,審査請求手続の公正を害する行為」であり,「その非難の程度が相当に高いと評価することが不合理であるとはいえない」とし,また,「同種の行為が反復される危険性があると評価することも不合理であるとはいえない」と評価した点にある。

年間購読料:29,700円(27,000円+税)※送料無料。労働判例ジャーナルは労働法EX+をご契約の方に毎月発行される月刊誌です

目次

◆ 公務員の懲戒処分と任命権者の裁量権の範囲

氷見市消防職員事件

最高裁(令和4年6月14日)判決

◆ 酒気帯び運転事故を理由とする退職手当不支給処分取消請求

府中町事件

広島高裁(令和4年6月22日)判

◆ 幹部職員の性的暴行に基づく市に対する損害賠償等請求

長崎市事件

長崎地裁(令和4年5月30日)判決

◆ パワハラ言動を理由とする懲戒解雇の有効性

社会福祉法人ファミーユ高知事件

高松高裁(令和4年5月25日)判決

◆ 労働契約締結に基づく未払割増賃金等支払

GT-WORKS事件

大阪地裁(令和4年5月20日)判決

◆ 未収金の回収と退職金の支払合意

千田事件

大阪地裁(令和4年5月20日)判決

◆ 保育士職員の区に対する損害賠償等請求

千代田区事件

東京高裁(令和4年5月20日)判決

◆ 安全配慮義務違反に基づく損害賠償等請求

東京電力ホールディングスほか1社事件

仙台高裁(令和4年5月19日)判決

◆ 総務部長の管理監督者性と未払割増賃金等支払請求

辻中事件

大阪地裁(令和4年4月28日)判決

◆ 団体交渉を求める地位保全仮処分申立

函館バス事件

函館地裁(令和4年4月1日)判決

◆ 最低賃金額との差額と未払賃金等支払請求

吉永自動車工業事件

大阪地裁(令和4年4月28日)判決

◆ 管理監督義務懈怠に基づく懲戒処分取消等請求

みよし広域連合事件

高松高裁(令和4年4月22日)判決

◆ 監察官等からの退職強要等に基づく損害賠償等請求

山口県事件

広島高裁(令和4年4月21日)判決

◆ 勤務意欲欠如等を理由とする解雇の有効性

スミヨシ事件

大阪地裁(令和4年4月12日)判決

◆ 事業場外労働みなし制適用の有無

セルトリオン・ヘルスケア・ジャパン事件

東京地裁(令和4年3月30日)判決

◆ 使用者の裁量と降格無効地位確認等請求

広島精研工業事件

広島高裁(令和4年3月29日)判決

◆( 旧)労働契約法20条に基づく損害賠償等請求

名古屋自動車学校事件

名古屋高裁(令和4年3月25日)判決

◆ 整理解雇の有効性

コスモバイタル事件

東京地裁(令和4年3月2日)判決

◆ 不活動待機時間の労基法上の労働時間性

システムメンテナンス事件

札幌高裁(令和4年2月25日)判決

一覧に戻る

年間購読料:29,700円(27,000円+税)※送料無料。労働判例ジャーナルは労働法EX+をご契約の方に毎月発行される月刊誌です