労働判例ジャーナル168号(2026年・3月)

■注目判例
大学非常勤教員の労働者性
東京海洋大学事件
■ポイント
本件は,国立大学法人である東京海洋大学(本件大学)が平成17年4月以降,数学科目の講義を担当する非常勤講師(本件非常勤教員)として「委嘱」する旨の期間1年の契約を毎年更新してきたが,令和3年度の本件契約を最後に雇止めをした。これに対し,本件非常勤教員は,本件契約は労契法18条1項の「有期労働契約」に当たり,同項に基づく無期転換権を行使したことにより期間の定めのない労働契約に転換したとして,上記雇止めは解雇に当たり,その解雇は無効であると主張し,本件大学に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに,解雇後の令和4年4月分以降の賃金などの支払を求めた事案である。
大学の非常勤教員の労働者性は,最近,本件の原審などこれを否定する裁判例が相次いでいた。これに対し,本判決は,大学の非常勤教員の労働者性を認めた意義がある。
今後の労働者性判断をめぐる司法判断に一石を投じるものとして注目に値しよう。
| 年間購読料:52,800円(48,000円+税)※送料無料。 |
目次
◆ 大学非常勤教員の労働者性
東京海洋大学事件
東京高裁(令和8年1月15日)判決
◆ 業務起因によるうつ病自殺等に基づく損害賠償等請求が一部認められた例
長崎ヤクルト事件
長崎地裁(令和7年10月3日)判決
◆ 労働者性は認められないとして,雇用契約上の地位確認等請求が斥けられた例
オクタゴンほか1社事件
東京地裁(令和7年9月25日)判決
◆ 未払報酬等支払請求が認められた例
群馬テレビ事件
前橋地裁(令和7年9月19日)判決
◆ 年金給付減額分支払等請求が斥けられた例
MSD事件
東京地裁(令和7年9月18日)判決
◆ 雇止め無効地位確認等請求が斥けられたが,特別加算時給の支払請求が認められた例
シルバーライフ事件
東京地裁(令和7年9月12日)判決
◆ 自然退職の効力が生じたとは認められないとして,地位確認請求が認められた例
ファーストリテイリング事件
東京地裁(令和7年9月12日)判決
◆ 従業員の暴行及び退職強要脅迫書面等に基づく損害賠償等請求が斥けられた例
ゼンドーアシストマネジメント事件
東京地裁(令和7年9月10日)判決
◆ 未払賃金等支払請求及び損害賠償等請求が一部認められた例
グッドヌードルイノベーション事件
東京地裁(令和7年9月10日)判決
◆ サイトでの業務につき,労働契約に基づく未払割増賃金等支払請求が認められた例
コンテンツ事件
東京地裁(令和7年9月10日)判決
◆ 未払割増賃金並びに付加金等支払請求が一部認められた例
デジタル・コミュニケーションズ事件
東京地裁(令和7年9月3日)判決
◆ 未払賃金等支払請求が認められ,パワハラに基づく損害賠償等請求が一部認められた例
エアクラフトセールズ&リース事件
東京地裁(令和7年8月28日)判決
◆ 元船員の未払割増賃金等支払請求が斥けられた例
船なび事件
東京地裁(令和7年8月27日)判決
◆ 能力欠如等を理由とする解雇無効地位確認等請求が斥けられた例
AGC事件
東京地裁(令和7年8月21日)判決
◆ 雇用終了扱いは有効であるとして,地位確認等請求が斥けられた例
日本生命保険事件
東京地裁(令和7年8月15日)判決
◆ 勤務成績不良等を理由とする解雇無効地位確認等請求が認められた例
ワンダーストリーム事件
東京地裁(令和7年8月8日)判決
◆ 試用期間中の解雇無効地位確認等請求が認められた例
マトリックス・オーガナイゼーション事件
東京地裁(令和7年8月8日)判決
◆ 休職事由消滅に基づく未払賃金等支払請求が斥けられた例
トヨテック事件
東京地裁(令和7年8月6日)判決
◆ 勤務態度劣悪等を理由とする解雇無効地位確認等請求が斥けられた例
OPN事件
東京地裁(令和7年8月5日)判決
| 年間購読料:52,800円(48,000円+税)※送料無料。 |