労働判例ジャーナル163号(2025年・10月)

■注目判例

出向命令の有効性

図書館流通センター事件

■ポイント

 本件は,図書館管理運営業務の受託及び代行業等を業とする会社(本件会社)の従業員であって,現在までC社へ出向している本件従業員が,本件会社に対し,本件従業員のC社への出向は,本件従業員と本件会社との間の本件に先立つ訴訟で成立した訴訟上の和解の履行として,出向期間を定めてなされた出向命令に基づき行われたものであるが,その後出向期間を延長して再度された出向命令(本件出向命令)は,権利を濫用したものとして無効であると主張し,現在ではC社において勤務する労働契約上の義務のないことの確認を求めるところ,これに対して本件会社が,本件従業員のC社への出向は本件従業員,本件会社及びC社の間の個別の出向合意に基づき現在まで有効に行われていると反論するとともに,仮に本件の出向が本件従業員の指摘する再度の出向命令に基づくものであったとしても,同命令は権利を濫用したものとはいえず有効であると反論し,本件従業員の上記確認請求を争う事案である。

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目次

◆ 出向命令の有効性

図書館流通センター事件

東京地裁(令和7年6月26日)判決

◆ 元力士の協会及び親方に対する損害賠償等請求が斥けられた例

公益財団法人b事件

千葉地裁松戸支部(令和7年6月27日)判決

◆ トランスジェンダーの市議の損害賠償等請求が一部認められた例

損害賠償等請求事件

名古屋地裁(令和7年6月25日)判決

◆ 降格処分は無効であるとして,降格に伴う未払賃金等支払請求が一部認められた例

相互製版事件

大阪地裁(令和7年5月13日)判決

◆ 違法な異動,上司のパワハラに基づく未払賃金及び慰謝料等請求が斥けられた例

東吾妻町事件

前橋地裁(令和7年5月23日)判決

◆ アカデミック・ハラスメントに基づく損害賠償等請求を一部認容した原判決が維持された例

学校法人東海学園事件

名古屋高裁(令和7年4月25日)判決

◆ 諭旨解雇無効地位等請求(本訴),損害賠償等請求(反訴)がいずれも斥けられた例

東京都公立大学法人事件

東京地裁(令和7年4月24日)判決

◆ 未払退職金等支払請求が認められ,損害賠償等請求が一部認められた例

石川中央魚市事件

金沢地裁(令和7年4月24日)判決

◆ 労務提供懈怠を理由とする解雇無効地位確認請求が斥けられた例

プラン・ドゥ・シー事件

東京地裁(令和7年4月23日)判決

◆ 未払退職金支払請求が認められたが,未払賃金等支払請求が斥けられた例

ジベック事件

東京地裁(令和7年3月31日)判決

◆ 内部通報に対する会社の対応に基づく損害賠償等請求が斥けられた例

ENEOS事件

東京地裁(令和7年3月31日)判決

◆ 勤務態度不良等を理由とする雇止め無効地位確認等請求が斥けられた例

クープ事件

東京地裁(令和7年3月28日)判決

◆ 解雇無効地位確認請求が斥けられ,未払賃金等支払請求のみ一部認められた例

駐日欧州連合特命全権大使事件

東京地裁(令和7年3月28日)判決

◆ 派遣労働者の休業手当支払請求が認められた例

ピックル事件

東京地裁(令和7年3月26日)判決

◆ 解雇予告手当未払分等支払請求及び損害賠償等請求を棄却した原判決が維持された例

ビーウィズ事件

東京地裁(令和7年3月26日)判決

◆ 整理解雇無効未払賃金等支払請求が一部認められた例

にし山事件

東京地裁(令和7年3月26日)判決

◆ 香川県公立中学元教諭の超過勤務等に基づく慰謝料請求が一部認められた例

香川県・香川県人事委員会事件

高松地裁(令和7年3月25日)判決

◆ 休職期間満了を理由とする退職扱い無効地位確認等請求が斥けられた例

東日本電信電話事件

東京地裁(令和7年3月14日)判決

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