キャリア形成と育児等の両立を阻害する要因に関する調査結果の公表

 内閣府男女共同参画局は、本年8月14日、令和6年度の「仕事と生活の調和推進のための調査研究」として「キャリア形成と育児等の両立を阻害する要因に関する調査」の結果を公表しました。

 
 同局が運営する「仕事と生活の調和」推進サイトでは、毎年、調査研究の結果が公表されており、近年では、令和5年度は「『令和モデル』における全ての人が活躍できる働き方と仕事時間に関する調査」、令和4年度は「多様で柔軟な働き方推進に向けた企業の取組に関する調査」、令和3年度は「仕事と子育て等の両立を阻害する慣行等調査」でした。

 
 令和6年度調査の目的は、「男女が家事・育児等を分担して、共にライフイベントとキャリア形成を両立できる環境づくりに向けて、育児期にある男女にキャリア形成と育児等の両立に関する意識調査を行い、特に、育児休業から復帰した後のキャリア形成に関する実態を把握し、両立を阻害する要因を分析して広く発信することで、子育て世代の仕事と生活の調和推進を支援する」こととされています。

 
 調査は、本年1月17日(金)~1月21日(火)に、小学生以下(13歳未満)の同居している子どもがいる20歳~49歳の男女(末子について育休を取得。公務員を除く。)を対象にインターネット・モニターに対するアンケートを実施し、2853人(男性1266人、女性1587人)から回答を得ました。

 
 アンケート結果は多岐に及んでいますが、概要版では、例えば、①育休取得前後のキャリアプランの変化について、35歳以上の男性の約8割が育休取得による影響がない(またはキャリアアップできた)と回答しているのに対し、35歳以上の女性の約半数がキャリアをセーブすることになった・なりそうと回答していること、②キャリアプランを変更せずに両立を行うために必要なサポートについて、男女年齢問わず全体として、柔軟な勤務制度・制度の利用のしやすさ、両立やキャリアアップを応援する上司の姿勢、両立する人を支える職場全体の雰囲気、を挙げる人が多かったこと、③育児休業後に正社員・正職員以外に就業形態を変えて復帰または離職した理由について、自分自身の体力・気力が持たないこと、夕方や夜間等の勤務や残業があることなどの回答が多かったことが紹介されています。このほか、育児休業取得前に難易度が高いとされる業務経験を積んだ人は、そうした経験を積んでいない人と比べると、復帰後にキャリアをセーブする割合が低く、また、復帰後の仕事に対するモチベーションが高いという調査結果も興味深く感じました。さらに、自由記述欄の記載内容も多く紹介され、育児と仕事の両立に対する悩み・葛藤や困難さが様々に語られていますが、同じ立場にある者にとって、どれもが頷ける内容であるように感じます。

 
 各企業では、改正育児介護休業法の本年10月1日施行に向けて対応が進められていることと思います。本調査結果や自由記述欄を基に社内で意見交換をするだけでも、育児と仕事の両立をどのように支援していくかのヒントが多々得られますし、雇用環境整備措置の一つとされている研修の素材としても本調査結果を活用できるのではないかと思われます。また、育児と仕事の両立は、一人一人にとって、そう簡単には終わらない長期的な課題ですが、男女ともに子を持つ年齢の幅が広がっている中、キャリアの初期に子を持つか、一定のキャリアを経てから子を持つかによっても抱える困難さは異なり、両立支援も様々な視点から取り組むべき時代になっていると感じます。そして、女性の一層の活躍を実現するには、妊娠・出産・育児支援に限った対応ではなく、自社の女性社員のキャリア展開をどのように描き、ライフステージごとの活躍の下支えをするかという観点を持って取り組むことが重要ではないかと思います。

 

五三・町田法律事務所 弁護士 町田悠生子

 

~参考資料~
 
※内閣府男女共同参画局「仕事と生活の調和」推進サイト:こちら

 
※内閣府男女共同参画局「仕事と生活の調和」推進サイト内-関連資料リスト・調査研究ページ:こちら

 

(2025年08月29日)

 
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