労働判例ジャーナル106号(2021年・1月)

■注目判例
定年後再雇用の嘱託職員と正職員との労働条件の相違
名古屋自動車学校事件
■ポイント
本件は,定年後再雇用の嘱託職員と正職員との労働条件の相違が労契法旧20条のいう不合理にあたるかが争点となった事案である。周知のように,定年後再雇用の有期雇用者と正社員との労働条件の相違については,すでに長澤運輸事件最判(平30・6・1本誌75号1頁)がある。本件は,この最判と同様に嘱託職員と正職員とは,職務内容も人材配置の範囲も相違がなかった。そして,その基本的枠組みも最判に従っている。しかし,長澤運輸事件最判が,結論的には定年後再雇用の嘱託職員と正職員との労働条件の相違を不合理には当たらないとしたが,本判決は,基本給の相違が6割を超える範囲において,不合理としたことで注目される。定年後再雇用の嘱託職員と正職員との基本給および賞与の相違を不合理と判断した最初の事例である。
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