労働判例ジャーナル106号(2021年・1月)

■注目判例

定年後再雇用の嘱託職員と正職員との労働条件の相違

名古屋自動車学校事件

■ポイント

 本件は,定年後再雇用の嘱託職員と正職員との労働条件の相違が労契法旧20条のいう不合理にあたるかが争点となった事案である。周知のように,定年後再雇用の有期雇用者と正社員との労働条件の相違については,すでに長澤運輸事件最判(平30・6・1本誌75号1頁)がある。本件は,この最判と同様に嘱託職員と正職員とは,職務内容も人材配置の範囲も相違がなかった。そして,その基本的枠組みも最判に従っている。しかし,長澤運輸事件最判が,結論的には定年後再雇用の嘱託職員と正職員との労働条件の相違を不合理には当たらないとしたが,本判決は,基本給の相違が6割を超える範囲において,不合理としたことで注目される。定年後再雇用の嘱託職員と正職員との基本給および賞与の相違を不合理と判断した最初の事例である。

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目次

◆ 定年後再雇用の嘱託職員と正職員との労働条件の相違

名古屋自動車学校事件

名古屋地裁(令和2年10月28日)判決

◆ 懲戒解雇の有効性と不当利得返還請求

メディアスウィッチ事件

東京地裁(令和2年9月25日)判決

◆ 会社代表者のパワハラに基づく損害賠償等請求

ルーチェ事件

東京地裁(令和2年9月17日)判決

◆ バス乗務員路線終点時待機時間の労働時間該当性

北九州市・北九州市交通局長事件

福岡高裁(令和2年9月17日)判決

◆ 信頼関係破壊を理由とする解雇の有効性

みずほビジネスパートナー事件

東京地裁(令和2年9月16日)判決

◆ 能力不足を理由とする解雇及び整理解雇の有効性

大阪市北区医師会事件

大阪地裁(令和2年9月10日)判決

◆ 雇用契約に基づく未払賃金等支払請求

サンフィールド事件

大阪地裁(令和2年9月4日)判決

◆ 劇団員の労働者性

エアースタジオ事件

東京高裁(令和2年9月3日)判決

◆ 労働者性と労働基準法上の労働時間

ブレイントレジャー事件

大阪地裁(令和2年9月3日)判決

◆ 執行役員任期満了後の降格・降級無効地位確認等請求

ハナマルキ事件

東京地裁(令和2年8月28日)判決

◆ 休職満了時の自然退職無効地位確認等請求

日本漁船保険組合事件

東京地裁(令和2年8月27日)判決

◆ 上司のパワハラに基づく損害賠償等請求

旧Y病院組合事件

東京地裁立川支部(令和2年7月1日)判決

◆ ストーカー行為等を理由とする諭旨免職処分等の有効性

PwCあらた有限責任監査法人事件

東京地裁(令和2年7月2日)判決

◆ 遅延非控除・通院費控除廃止等の取扱無効確認

パーソルテンプスタッフ事件

東京地裁(令和2年6月19日)判決

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