労働判例ジャーナル99号(2020年・6月)

■注目判例

退職勧奨における発言の違法性

日立製作所事件

■ポイント

 本件は,大手総合電機メーカーでの退職勧奨の違法性が争点となった事案である。退職勧奨をめぐる法的紛争は,古くから存在するが,最近では,本件のように,退職勧奨の過程にパワー・ハラスメントがあったと主張されることが多い。パワー・ハラスメントについては,昨年,労働施策総合推進法(旧雇用対策法)の改正により,事業主のパワー・ハランスメント防止の措置義務が設けられたところである。
 本件では,退職勧奨を受けた従業員が明確に退職を拒否した後も,「複数回の面談の場で行われており,各面談における勧奨の態様自体も相当程度執拗である上」,根拠もないのに,他の部署による受入れの可能性が低いことをほのめかすなど,当該従業員に退職以外の選択肢がないという印象を現実以上に抱かせるものであったとされている。

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目次

◆ 退職勧奨における発言の違法性

日立製作所事件

横浜地裁(令和2年3月24日)判決

◆ 雇止め無効地位確認等請求

博報堂事件

福岡地裁(令和2年3月17日)判決

◆ 発達障害を理由とする不合格に基づく損害賠償等請求

高知県事件

高松高裁(令和2年3月11日)判決

◆ 新設就業規則の有効性

アクアライン事件

大阪地裁(令和2年2月28日)判決

◆ 適格性欠如等を理由とする分限免職処分取消請求

大阪府事件

大阪地裁(令和2年2月26日)判決

◆ 賃金からの違法控除に基づく損害賠償等請求

オレンジキャブ大阪事件

大阪地裁(令和2年2月12日)判決

◆ 重要情報持出を理由とする懲戒解雇の有効性

みずほ銀行事件

東京地裁(令和2年1月29日)判決

◆ 賃金減額の合意と辞職の意思の有無

岡部保全事件

東京地裁(令和2年1月29日)判決

◆ 契約途中の解雇と解雇無効地位確認等請求

ネットジャパン事件

東京地裁(令和元年12月26日)判決

◆ 退職者の債務不履行及び不法行為に基づく損害賠償等請求

日鉄ケミカル&マテリアル事件

東京地裁(令和元年12月11日)判決

◆ 管理監督者該当性と変形労働時間制の適用

白井グループ事件

東京地裁(令和元年12月4日)判決

◆ ハラスメントを理由とする雇止めの有効性

学校法人北海道カトリック学園事件

札幌地裁(令和元年10月30日)判決

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