労働判例ジャーナル97号(2020年・4月)

■注目判例
従業員の業務中の事故に対する賠償と使用者に対する求償
福山通運事件
■ポイント
本件は,大手貨物運送会社に勤務する運転手の業務中に起こした死亡事故について,自らが支払った賠償金などについて,会社に求償を求めたという事案である。原審判決(大阪高裁平30・4・27)は,被用者が第三者に損害を加えた場合は,費用者が損害の全額について賠償する責任があり,民法715条1項の規定は,損害を被った第三者が被用者から損害賠償金を回収できないという事態に備え,使用者にも損害賠償義務を負わせることとしたものであって,この規定が被用者の使用者に対する求償を認める根拠とはならないとして,運転手の請求を棄却した。
これに対し本判決は,民法715条1項の使用者責任について,使用者と被用者との損害の公平な分担という見地から,その事業の執行について被用者が第三者に加えた損害を使用者に負担させることとした。
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