労働判例ジャーナル89号(2019年・8月)

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■注目判例

ホストの多量飲酒による死亡の業務起因性

国・大阪中央労基署長(ダイヤモンド株式会社)事件

■ポイント

 本件は,ホストの多量飲酒による急性アルコール中毒による死亡の業務起因性が問われたという事例として珍しい事案である。死亡したホストの両親は,この死を業務に起因するとして,労災保険給付の請求をしたところ,大阪中央労働基準監督署長は,労災保険給付を支給しない旨の処分をしたことから,労災保険給付不支給処分取消しを求めて提訴した。
 ホストクラブでは,顧客の担当ホストが顧客にお酒のボトルを入れてもらうことにより,売上げを上げるという仕組みがとられていることが一般的である。死亡したホストは,顧客を担当するホストをサポートする役目(ヘルプと言う。)であり,多量飲酒は,ボトルを早く開けようとする同僚の事実上の強制が発端であり,接客業務であると判断された。
 近年は,クラブホステスの労働者性が問題となる事案も複数登場しており,従来は,労働紛争になることの少なかった業界においても,労働事件として提訴される事案が増えており注目されるところである。本件もそのような流れの中での事例ということができよう。

年会費:25,920円(24,000円+税・送料込) ※労働判例ジャーナルは労働法EX+をご契約の方に毎月発行される月刊誌です

目次

◆ ホストの多量飲酒による死亡の業務起因性

国・大阪中央労基署長(ダイヤモンド株式会社)事件

大阪地裁(令和元年5月29日)判決

◆ 学学部廃止を理由とする大学教員らの整理解雇の有効性

学校法人大乗淑徳学園事件

東京地裁(令和元年5月23日)判決

◆ 通勤の負担解消と安全配慮義務違反の有無

佐賀県事件

佐賀地裁(平成31年4月26日)判決

◆ うつ病自殺に基づく損害賠償等請求

岐阜県厚生農業協同組合連合会事件

岐阜地裁(平成31年4月19日)判決

◆ 教授会の決議等に対する損害賠償等請求

国立大学法人K大学事件

高松高裁(平成31年4月19日)判決

◆ タクシー乗務員の未払割増賃金等支払請求

洛陽交運事件

大阪高裁(平成31年4月11日)判決

◆ 不当労働行為に基づく賃金及び賞与等差額分支払請求

医療法人社団更生会事件

広島地裁(平成31年4月10日)判決

◆ 書面のない労働契約と解雇無効地位確認等請求

伊勢安土桃山城下街事件

津地裁伊勢支部(平成31年3月28日)判決

◆ 異動後の消防士の自殺の公務起因性

地方公務員災害補償基金(うつ病自殺)事件

東京地裁(平成31年3月18日)判決

◆ 配転命令無効等確認及び解雇無効地位確認請求

アルバック販売事件

神戸地裁姫路支部(平成31年3月18日)判決

◆ 解雇予告手当と未払賃金等支払請求

寺田商会事件

大阪地裁(平成31年3月14日)判決

◆ 通勤費不正受領に基づく停職処分に対する損害賠償等請求

大阪市(大阪市高速電気軌道)事件

大阪地裁(平成31年3月13日)判決

◆ 上司の指示命令に従わないこと等を理由とする解雇の有効性

社会福祉法人三宅島あじさいの会事件

東京地裁(平成31年3月7日)判決

◆  不適切メール・交通費過大請求と懲戒(出勤停止)の有効性

ラオックス事件

東京地裁(平成31年1月31日)判決

◆ 降格無効と教授たる地位確認等請求

学校法人帝京大学事件

東京地裁(平成31年1月30日)判決

◆ 雇止め無効地位確認等請求と建物明渡等請求

BGCショウケンカイシャリミテッド事件

東京地裁(平成31年1月25日)判決

◆ セクハラを理由とする降格無効等確認請求

学校法人國學院大學事件

東京地裁(平成31年1月24日)判決

◆ ドライバーの未払時間外割増賃金等支払請求

ナニワ企業事件

東京地裁(平成31年1月23日)判決

◆ 運航時間外手当の有効性

ヒサゴサービス事件

東京地裁(平成31年1月23日)判決

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