労働判例ジャーナル85号(2019年・4月)

■注目判例

契約社員と正社員との労働条件の相違の不合理性

メトロコマース事件
東京高裁(平成31年2月20日)判決

■ポイント

 本件は,東京メトロの100%子会社として,東京メトロ駅構内における新聞,たばこ,飲食料品,酒類,雑貨類等の物品販売等の事業を行う株式会社であるメトロコマースにおいて,東京メトロの駅構内の売店で販売業務に従事している有期契約社員らが,同社の正社員のうち売店業務に従事している者と契約社員らとの間で,①本給及び資格手当,②住宅手当,③賞与,④退職金,⑤褒賞並びに⑥早出残業手当(以下,これらを併せて「本件賃金等」という。)に相違があることは労契法20条または公序良俗に違反していると主張して,会社に対し差額賃金請求及び損害賠償請求をした事案である。
 本判決は,契約社員らが比較対象とする正社員の範囲を特定し,裁判所は,それを前提に正社員(無期契約労働者)と有期契約労働者との労働条件の相違の不合理性を判断するという手法を採用した。本判決において,このことが,早出残業手当のみならず,住宅手当,退職金及び褒賞に関する労働条件の相違を不合理とする結論を導き出す上で大きな役割を果たしている。比較対象者をどのように選定するかは,これまでの最高裁判決では判断が示されておらず,本判決の手法は,今後大きな議論を呼ぶと思われる。

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目次

◆ 契約社員と正社員との労働条件の相違の不合理性

メトロコマース事件

東京高裁(平成31年2月20日)判決

◆ ひげを禁止する職務命令に対する損害賠償等請求

大阪市(大阪市高速電気軌道)事件

大阪地裁(平成31年1月16日)判決

◆ 有期雇用を理由とする不合理な労働条件の相違に基づく損害賠償等請求

ハマキョウレックス(差戻控訴審)事件

大阪高裁(平成30年12月21日)判決

◆ 社保庁廃止に伴う分限免職処分取消等請求

国・愛媛社会保険事務局長事件

高松高裁(平成30年12月17日)判決

◆ 懲戒解雇及び普通解雇の有効性

クレディ・スイス証券事件

東京地裁(平成30年11月29日)判決

◆ 勤務不良等を理由とする解雇無効地位確認等請求

全駐留軍労働組合事件

東京地裁(平成30年11月29日)判決

◆ コンビニオーナーの労働者性

セブン-イレブン・ジャパン事件

東京地裁(平成30年11月21日)判決

◆ 不合理な労働条件の相違に基づく損害賠償等請求

日本ビューホテル事件

東京地裁(平成30年11月21日)判決

◆ 経営上の人権削減を理由とする解雇の有効性

マイラン製薬事件

東京地裁(平成30年10月31日)判決

◆ 専門業務型裁量労働制を適用の可否

インサイド・アウト事件

東京地裁(平成30年10月16日)判決

◆ チェック・オフ制度廃止通告の不当労働行為該当性

国・中労委(大阪市)事件

東京高裁(平成30年8月30日)判決

◆ うつ状態発症等の公務起因性

独立行政法人国立印刷局事件

東京地裁(平成30年8月29日)判決

◆ 退職を余儀なくされたこと等に基づく損害賠償等請求

損害賠償等請求事件

東京地裁(平成30年8月22日)判決

◆ 懲戒解雇無効に基づく損害賠償等請求

関東食研事件

東京地裁(平成30年8月15日)判決

◆ 配転命令不遵守を理由とする本採用拒否と解雇無効地位確認等請求

地位確認等請求事件

神戸地裁(平成30年7月20日)判決

◆ 妊娠,出産による降格・有期雇用契約への転換・解雇等の有効性

フーズシステム事件

東京地裁(平成30年7月5日)判決

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