労働判例ジャーナル56号(2016年・11月)

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■注目判例

高年法の継続雇用制度における再雇用の労働条件

トヨタ自動車事件
名古屋高裁(平成28年9月28日)判決

■ポイント

 この事件は,高年齢者雇用安定法(以下,「高年法」という。)に基づく継続雇用に関わる事案である。2012年の改正高年法は,65歳までの雇用安定措置のうち,ほとんどの事業主が選択している継続雇用制度について労使協定の基準による制限を廃止し,高年齢者の希望があるときには,定年後も引き続いて雇用する制度とした。
 本事案では,採用基準を定め,期間を最長5年とする再雇用(スキルドパートナー)と希望すれば1年間のみ再雇用されるパートタイマーとの二種類の再雇用制度が設けられていた。このなかでスキルドパートナーとしての再雇用を希望したが採用されなかった従業員がパートタイマーとして提示された条件では納得できないとして,定年退職したが,採用基準が不相当であり,また,採用手続きに違背があったとして,スキルドパートナーとしての地位確認を請求し,また,パートタイマーとしての労働条件の提示が不適当であるとして,雇用契約上の債務不履行または不法行為にもとづき損害賠償を請求した。これに対し,一審判決(名古屋地裁岡崎支判平28・1・7)は,これらの請求をすべて棄却したが,本判決は,パートタイマーとしての再雇用に関する会社の条件提示が雇用契約上の債務不履行または不法行為であるとして損害賠償を認めたことが注目される。
 継続雇用制度の再雇用における職務内容および賃金水準に関する具体的な判断として,今後,理論的にも実務的にも注目される裁判例と言える。

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目次

【注目判例】

◆ 高年法の継続雇用制度における再雇用の労働条件

トヨタ自動車事件

名古屋高裁(平成28年9月28日)判決

◆ 打切補償によりなされた解雇の労働契約法16条該当性

学校法人専修大学(差戻審)事件

東京高裁(平成28年9月12日)判決

◆ 精神障害発症後の自殺に関する業務起因性の成否

国・三田労基署長(精神障害発症後の自殺)事件

東京高裁(平成28年9月1日)判決

◆ うつ病り患に対する安全配慮義務違反と損害賠償等請求

東芝(うつ病)(差戻審)事件

東京高裁(平成28年8月31日)判決

◆ 試用期間経過後の解雇無効確認等請求

アネックス事件

東京地裁(平成28年8月26日)判決

◆ 大学職員らの就業規則変更無効による減額賃金等支払請求

国立大学法人富山大学事件

名古屋高裁金沢支部(平成28年7月27日)判決

◆ 卒業式のピアノ伴奏拒否に基づく懲戒処分無効確認等請求

東京都・東京都教育委員会ほか事件

東京高裁(平成28年7月19日)判決

◆ セクハラ等に基づく懲戒解雇無効地位確認等請求

クレディ・スイス証券事件

東京地裁(平成28年7月19日)判決

◆ 競業禁止合意に基づく損害賠償請求

リンクスタッフ事件

大阪地裁(平成28年7月14日)判決

◆ 直接雇用関係のない会社に対する安全配慮義務違反

リゾートソリューション事件

さいたま地裁(平成28年7月14日)判決

◆ 労働契約内容に基づく未払賃金等支払請求

マクサス事件

東京地裁(平成28年7月13日)判決

◆ 元従業員らに対する不当利得返還等請求

ドコモCS事件

東京地裁(平成28年7月8日)判決

◆ 未払賃金,時間外割増賃金及び付加金等支払請求

柳原電気事件

大阪地裁(平成28年7月8日)判決

◆ 高校教諭の国家斉唱拒否等に基づく懲戒処分取消等請求

大阪府・大阪府教員委員会事件

大阪地裁(平成28年7月6日)判決

◆ 保育園の元従業員による解雇無効地位確認等請求

Agape事件

東京地裁(平成28年7月1日)判決

◆ 指導教員解任の不当労働行為該当性

国・中労委(鶴川高等学校教職員組合)事件

東京地裁(平成28年6月29日)判決

◆ 高校教諭の精神疾患発症と公務外災害認定取消請求

地方公務員災害補償基金・大阪府支部長(精神疾患発症)事件

大阪地裁(平成28年6月29日)判決

◆ シニアボランティアの療養費用負担義務確認等請求

国・法務大臣事件

大阪高裁(平成28年6月29日)判決

◆ 派遣労働者の派遣事業者に対する地位確認等請求

セールスアウトソーシング事件

東京地裁(平成28年6月21日)判決

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