労働判例ジャーナル160号(2025年・7月)

■注目判例

専任教員と有期雇用講師の基本給格差の不合理性

明徳学園事件

■ポイント

 本判決は,有期雇用労働者に対する基本給差別が不合理とされたということで社会的に注目されているが,本件には,①高校の有期雇用の常勤講師が事務職員に配転されたことに伴う争点と②無期雇用である専任教員と有期雇用の常勤講師との基本給格差の不合理性に関する争点がある。
 第1の争点では,常勤講師としての地位確認請求が就労請求権のないことを理由に確認の利益が否定され却下され,就業規則および教育職員から事務職員への配転が行われていた実態などから教育職員としての職種限定合意が否定され,配転命令が権利濫用に当たらないとされた。職種限定合意の有無は,個別の事例判断ではあるが,教員としての職種限定が認められなかったのは珍しい事例であり,その点でも注目される判決である。

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目次

◆ 専任教員と有期雇用講師の基本給格差の不合理性

明徳学園事件

京都地裁(令和7年2月13日)判決

◆ 美容師の競業避止義務に基づく損害賠償等請求が一部認められた例

GREANNESS事件

東京地裁(令和7年3月26日)判決

◆ 退職金制度変更が合理的であるとして,損害賠償等請求が斥けられた例

ハウス食品事件

大阪地裁(令和7年3月19日)判決

◆ 契約期間満了前の解雇無効に基づく損害賠償等請求が斥けられた例

学校法人明治学院事件

大阪地裁(令和7年3月14日)判決

◆ 医師に診療を行わせない行為に基づく損害賠償等請求が一部認められた例

医療法人社団愛友会事件

東京地裁立川支部(令和7年3月6日)判決

◆ 上司のタバコを近づける行為に基づく損害賠償等請求が一部認められた例

ほくでんサービス事件

札幌地裁(令和7年3月6日)判決

◆ 「その他手当」の黙示の合意に基づく未払賃金等支払請求が斥けられた例

アートバンライン事件

大阪地裁(令和7年2月25日)判決

◆ 懲戒解雇無効地位確認等請求が斥けられたが,損害賠償等請求が一部認められた例

みずほ銀行事件

東京高裁(令和7年2月12日)判決

◆ 配転命令は有効であるして,解雇無効地位確認等請求が斥けられた例

スターフェスティバル事件

東京地裁(令和7年1月31日)判決

◆ 解雇は無効であるとして,未払賃金等支払請求が一部認められた例

医療法人財団明理会事件

東京地裁立川支部(令和7年1月31日)判決

◆ 懲戒処分及び雇止めは無効であるとして,未払賃金支払請求が一部認められた例

学校法人昭和大学事件

東京地裁(令和7年1月30日)判決

◆ パワハラを理由とする懲戒処分無効確認請求が認められた例

学校法人東京女学館事件

東京地裁(令和7年1月29日)判決

◆ 未払賃金等支払請求及び立替金等支払請求が一部認められた例

ファミリーテック事件

東京地裁(令和7年1月17日)判決

◆ 雇止め無効地位確認等請求及び損害賠償等請求が斥けられた例

SBモバイルサービス事件

東京地裁(令和7年1月15日)判決

◆ 出社義務の不履行を理由とする解雇無効地位確認等請求が斥けられた例

セールスフォース・ジャパン事件

東京地裁(令和7年1月15日)判決

◆ 契約期間満了により終了したとして,労働契約上の地位確認等請求が斥けられた例

ネクスコ東日本トラスティ事件

東京地裁(令和6年12月25日)判決

◆ 職務に耐えられないことを理由とする解雇無効地位確認請求が斥けられた例

GWG事件

大阪地裁(令和6年11月29日)判決

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