労働判例ジャーナル140号(2023年・11月)

■注目判例

解雇の意思表示の存否及び離職証明書の不実記載

ビッグモーター事件

■ポイント

 本件は,自動車及び自動車部品販売業並びに自動車修理,解体業及びレッカー作業等を目的とする会社であるビッグモーター(本件会社)に雇用されていた元従業員が,本件会社から解雇されたことが違法であり,また,本件会社が,離職票に不実の記載をしたことにより国民健康保険税の軽減を受けることができなかったとして,本件会社に対し,不法行為に基づく損害賠償などを請求した事件である。
 本件の特徴としては,本件会社が解雇の意思表示をしていないという主張に固執し,予備的にも解雇の合理的理由などを主張していないことと元従業員も地位確認ではなく,解雇を違法として本件会社に損害賠償を請求していることである。
 この事案を振り返ると,本件会社の労務管理が極めて杜撰であったことが浮き彫りにされたものと言えよう。

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目次

◆ 解雇の意思表示の存否及び離職証明書の不実記載

ビッグモーター事件

水戸地裁(令和5年2月8日)判決

◆ 未払賃金の認容額につき,中間利益の控除により,原判決が変更された例

函館バス事件

札幌高裁(令和5年8月22日)判決

◆ 変形労働時間制は無効であるとして,未払割増賃金等支払請求が一部認められた例

サカイ引越センター事件

東京地裁立川支部(令和5年8月9日)判決

◆ 元市長の発言に違法性が認められ,元副市長の発言に違法性は認められなかった例

損害賠償等請求事件

横浜地裁(令和5年7月28日)判決

◆ 不適切発言断定メール送付等に基づく損害賠償等請求が一部認められた例

リセット事件

大阪地裁(令和5年7月27日)判決

◆ 休暇を十分取得できる配置をしなかった点の安全配慮義務違反

国・法務大臣(元自衛隊員)事件

横浜地裁(令和5年7月20日)判決

◆ 誠実交渉義務違反があるとして,不当労働行為救済命令取消請求が斥けられた例

国立大学法人山形大学事件

仙台高裁(令和5年7月19日)判決

◆ 年休申込簿記入時点での時季指定権の効果

東海旅客鉄道事件

大阪地裁(令和5年7月6日)判決

◆ 規律違反を理由とする解雇無効地位確認請求

フジタ技研事件

名古屋高裁金沢支部(令和5年6月14日)判決

◆ 過半数代表者の選出に違法があるとして,変形労働時間制・三六協定が無効とされた例

未払割増賃金等支払請求事件

釧路地裁帯広支部(令和5年6月2日)判決

◆ 所属部部長の行為にパワハラは認められないとして,損害賠償等請求が斥けられた例

日本郵政事件

大阪地裁(令和5年5月22日)判決

◆ 起立命令違反を理由とする戒告処分の有効性

大阪市・府教委事件

大阪地裁(令和5年5月17日)判決

◆ 業務と自死との間には相当因果関係があるとして,損害賠償等請求が一部認められた例

海援隊沖縄事件

那覇地裁(令和5年4月25日)判決

◆ 管理監督者に当たらないとして,未払割増賃金等支払請求が一部認められた例

三栄事件

大阪地裁(令和5年3月27日)判決

◆ 厳重注意処分無効確認請求は確認の利益を欠くため不適法であるとして斥けられた例

Apple Japan事件

大阪地裁(令和5年3月24日)判決

◆ 自宅待機命令が違法とは認められないとして,慰謝料等請求が斥けられた例

ハウス食品事件

大阪地裁(令和5年3月17日)判決

◆ 試用期間中の解雇の有効性

大宇宙ジャパン事件

東京地裁(令和5年2月22日)判決

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