多様化する労働契約における人事評価の法律実務

多様化する労働契約における人事評価の法律実務

■働き方改革が目指す職務や能力等の明確化と公平な評価と処遇の実現についてどのように考えるか。
■様々な契約形態があり、その変化がどのように人事評価に影響を与えるのか。
 また、人事評価をめぐる労働紛争の解決に向け、今後の制度設計はどのようにあるべきか解説しています。

著者/所属 :第一東京弁護士会 労働法制委員会

サイズ/ページ数 :A5判 並製 320ページ

ISBN :978-4-903613-22-2

価格 2,750円(本体2,500円+税) 数量

目次

第1章人事評価とはどのような行為か

Q1 人事評価(査定)とは、どのような行為をいうのでしょうか?また、企業で採用されている人事評価制度の例を紹介してください。
Q2 人事評価においては、目標管理制度が活用されていると聞きますが、目標管理による人事評価とはどのようなものですか?
Q3 人事評価が活用される賃金制度(人事制度)には、どのようなものがありますか?

第2章 職能資格制度における人事制度はどのように運用されているか

Q1 職能資格制度とはどういった制度ですか?
Q2 職能資格制度はどのようにして日本社会に浸透していったのでしょうか?
Q3 職能資格制度の特徴を教えてください。
Q4 職能資格制度は、どのようなルールに則って運用されているのでしょうか?
Q5 職能資格制度では、どのような種類の人事考課がなされるのでしょうか?
Q6 職能資格制度における人事考課には、いかなる規制が及ぶのでしょうか?
Q7 職能資格制度下でも降格はできるのでしょうか?

第3章 成果主義賃金(人事)制度について

Q1 成果主義賃金(人事)制度とは、どのような人事制度でしょうか?
Q2 成果主義賃金(人事)制度は、どのような事情を背景に日本で普及したのでしょうか?
Q3 成果主義賃金(人事)制度を導入した場合、どのような特徴があるのでしょうか?
Q4 成果主義賃金(人事)制度においては、具体的にどのような仕組みが導入されるのでしょうか?
Q5 成果主義賃金(人事)制度において導入されている職務等級制度(ジョブ・グレード制)や役割等級制(ミッション・グレード制)とは、どのような制度でしょうか?
Q6 成果主義賃金(人事)制度では、どのような要素を評価するのでしょうか?
Q7 成果主義賃金 (人事)制度において、具体的にどのような評価制度を用いて人事考課を行っているのでしょうか?
Q8 成果主義賃金(人事)制度において、評価制度を運用するにあたり、どのような点に注意をすべきでしょうか?
Q9 成果主義賃金(人事)制度の導入にあたっては、どのような点を注意すべきなのでしょうか?
Q10 成果主義賃金(人事)制度を導入する場合には、就業規則にいかなる記載が必要でしょうか?

第4章 評価に基づく降格、降給は可能か

Q1 降格とは、どのようなものを指すのでしょうか?
Q2 職能資格等級の引き下げ、職位の引き下げとは、どのような内容で、どのような違いがあるのでしょうか?
Q3 職能資格等級の引き下げとしての降格を行うための要件は何ですか?
Q4 (職能資格制度上の)職位の引き下げとしての降格を行うための要件とは何ですか?
Q5 (職務等級制度上の)職位の引き下げとしての降格を行うための要件は何ですか?
Q6 評価に基づく降給とは何ですか?
Q7 人事考課権の濫用の判断枠組みはどう考えられていますか?

第5章 PIP(業務改善プログラム)

Q1 PIP とは何ですか?
Q2 業務改善プログラム(PIP)とは、誰を対象にし、どのような目的で行なわれるのですか?
Q3 業務改善プログラム(PIP)の法的性格は?
Q4 業務改善プログラム(PIP)と親和性がある評価制度は?
Q5 業務改善プログラム(PIP)を実施する際の一般的なプロセスは?
Q6 業務改善プログラム(PIP)の対象となる従業員は、どのように選別すればよいですか?
Q7 業務改善プログラム(PIP)が注意指導の一形態であることは分かりましたが、注意指導の手段(方法)として、業務改善プログラム(PIP)が適しているのは、どのような場合でしょうか?
Q8 業務改善プログラム(PIP)を実施する際、要改善事項や改善目標を記載した書面(この書面を、以下「実施計画書」と呼びます)を作成することになりますが、実施計画書には、何をどのように記載すれば良いですか?
Q9 対象従業員への説明・交付前に実施計画書は、誰かがレビュー(確認)した方が良いでしょうか?
Q10 実施計画書は、対象従業員と話し合って、内容を一から決めた方が良いのでしょうか?
Q11 対象従業員が業務改善プログラム(PIP)の実施を拒否した場合は、どのように対応すれば良いでしょうか?
Q12 業務改善プログラム(PIP)実施後のフィードバック面談で伝える内容は?
Q13 業務改善プログラム(PIP)の実施期間が終了した場合、何をすれば良いでしょうか?
Q14 業務改善プログラム(PIP)が問題となった裁判例には、どのようなものがありますか?
Q15 「従業員の能力不足・成績不良」を理由とする普通解雇の有効性の判断基準は?
Q16 業務改善プログラム(PIP)の実施は、普通解雇の要件でしょうか?

第6章人事考課と不当労働行為

Q1 人事考課に関して、従来不当労働行為が問題となった類型には、どのようなものがあったのでしょうか?
Q2 人事考課に関する不当労働行為事件の特殊性としてどのようなことが挙げられるのでしょうか?
Q3 労働委員会が、人事考課に関する不当労働行為事件の審理の際に用いた立証活動にかかる判断枠組みはどのようなものですか?
Q4 労働委員会で採用されていた大量観察方式は、裁判所においても全面的に採用されているのですか?
Q5 大量観察方式が判断枠組みとして全面的には採用されていない背景として、どのような事情が考えられますか?
Q6 大量観察方式にかかる問題点を踏まえて提唱された、「修正大量観察方式」は、どのようなものですか?
Q7 不当労働行為が認定された場合の救済命令にはどのようなものがありますか?

第7章 同一労働同一賃金と人事「評価」をめぐる問題

Q1 同一労働同一賃金問題における人事「評価」の問題とは?
Q2 同一労働同一賃金をめぐる概念整理―均衡と均等の違いとは?
Q3 同一労働同一賃金は「誰」と「誰」の均衡なのか?(比較対象論)
Q4 同一労働同一賃金は「何」と「何」の均衡なのか?(比較方法論)
Q5 同一労働同一賃金の救済方法は?(法違反の場合の法的效果)
Q6 同一労働同一賃金の問題と人事評価制度の関係とは?
Q7 短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針

第8章 人事評価の実務と法的問題をめぐって

1.「働き方改革法制」と人事評価
2.人事評価と人事管理
3.職能資格制度をめぐって
4.成果主義賃金制度をめぐって
5.人事評価に基づく降格・降給をめぐって
6.業務改善プログラム(PIP)をめぐって
7.人事考課と不当労働行為をめぐって
8.同一労働同一賃金にまつわる評価をめぐって

第9章 労働契約の多様化における人事評価とは

1.労働契約の多様化とは
2.日本的雇用における人事評価の役割
3.成果主義導入による人事評価の変化
4.雇用流動化と人事評価
5.均衡・均等処遇を目指す働き方
6.人事評価をめぐる労働紛争の解決方法
7.弁護士が人事評価制度を学ぶことの意義

著者紹介

第一東京弁護士会 労働法制委員会

安西 愈(労働法制委員会委員長)
安西法律事務所。弁護士。昭和33年香川労働基準局に採用。同37年中央大学卒業(通信教育)。同39年労働省労働基準局へ配置換え。同44年同省退職。同46年弁護士登録。第一東京弁護士会副会長、最高裁司法研修所教官、労働省科学顧問、日弁連研修委員長、中央大学法科大学院客員教授、東京最賃審議会会長等歴任。主な著書に、「採用から退職までの法律知識(第14訂版)」、「労働時間、休日・休暇の法律実務(第7訂版)」、「労働基準法のポイント」、「人事の法律常識」、「労災裁判例にみる労働者の過失相殺」等多数。

木下潮音(同委員会労働契約法部会部会長)(第9章執筆)
第一芙蓉法律事務所。東京都出身。弁護士。早稲田大学法学部卒業。1982年10月司法試験合格、1985年4月司法修習終了。1992年イリノイ大学カレッジオブロー卒業、LLM取得。
2004年4月第一東京弁護士会副会長就任(2005年3月退任)、2010年4月東京大学法科大学院客員教授就任(2013年3月退任)、2013年4月東京工業大学副学長就任、現在に至る。現在、経営法曹会議常任幹事、日本労働法学会理事。

石井妙子(同委員会労使関係法部会部会長)
太田・石井法律事務所。昭和54年早稲田大学法学部卒業、昭和61年弁護士登録。第一東京弁護士会所属。同会労働法制委員会副委員長。東京地方裁判所民事調停委員、経営法曹会議事務局長。
主な著書に「問題社員対応の法律実務」(経団連出版)、「懲戒処分―適正な対応と実務」共著(労務行政研究所)などがある。

末 啓一郎(同委員会基礎研究部会部会長)
1982年東京大学法学部卒業。1984年弁護士登録、高井伸夫法律事務所で労働事件を担当。その後松尾綜合法律事務所に移籍し、倒産処理、通商問題等を担当。1992年ルーバン・カソリック大学法学部大学院、1994年コロンビア大学ロー・スクールを卒業。1995年ニューヨーク州弁護士登録。1999年から2001年まで経済産業省にてWTO紛争処理を担当。2009年法学博士号取得。同年ブレークモア法律事務所に移籍。

峰 隆之(同委員会労働時間法制部会部会長)
第一協同法律事務所パートナー。昭和62年東京大学法学部卒業,同年東京電力㈱入社。平成4年弁護士登録。第一東京弁護士会所属。同会労働法制委員会労働時間法制部会部会長。経営法曹会議常任幹事(会報委員長)。日本労働法学会会員。平成25~27年東京大学法科大学院客員教授。
主な著書に「ダラダラ残業防止のための就業規則と実務対応」(日本法令),「震災に伴う人事労務管理上の諸問題」(労働開発研究会)等。

山口浩一郎
昭和35年東北大学法学部卒業。上智大学法学部教授、中央労働委員会会長、労働政策研究・研修機構理事長を経て、現在は上智大学名誉教授。弁護士(第一東京弁護士会)。
主な著書に「労災補償の諸問題(増補版)」(信山社)など。

藤田進太郎
弁護士法人四谷麹町法律事務所。東京大学法学部卒業。日本弁護士連合会労働法制委員会事務局員・最高裁判所行政局との労働審判制度に関する協議会メンバー。東京三弁護士会労働訴訟等協議会メンバー。第一東京弁護士会労働法制委員会労働契約法部会副部会長。経営法曹会議会員。日本労働法学会会員。

倉重公太朗(第7章執筆)
慶應義塾大学経済学部卒業。オリック東京法律事務所、安西法律事務所所属ののち、2018年10月から倉重・近衞・森田法律事務所代表弁護士。第一東京弁護士会所属。第一東京弁護士会労働法制委員会外国法部会副部会長,日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員,日本CSR普及協会 雇用労働専門委員,経営法曹会議会員。経営者側労働法専門弁護士。各種労務セミナーを多数開催。著作は20冊を超えるが,主な著書に,『企業労働法実務入門』(編集代表,日本リーダーズ協会),『企業労働法実務入門【書式編】』(同左),『なぜ景気が回復しても給料が上がらないのか』(著者代表,労働調査会)。

小山博章
第一芙蓉法律事務所。慶應義塾大学大学院法務研究科修了。平成20年弁護士登録(第一東京弁護士会)。経営法曹会議会員。日本労働法学会会員。第一東京弁護士会労働法制委員会基礎研究部会副部会長。
経営者側労働法専門弁護士で、労働審判・仮処分・労働訴訟の係争案件対応、団体交渉対応、人事労務に関する相談等を得意分野とする。ハラスメント研修等の管理職研修、従業員研修や、セミナーも数多く担当している。
主な著書に「労務専門弁護士が教える SNS・ITをめぐる雇用管理 -Q&Aとポイント・書式例-」(新日本法規出版)、「SNS公式アカウント運営者のための企業の信頼失墜を防ぐ 法的リスク・炎上対策」(第一法規)、「裁判例や通達から読み解くマタニティ・ハラスメント」(労働開発研究会)、「最新裁判例にみる職場復帰・復職トラブル予防のポイント」(新日本法規出版)、「退職・解雇・雇止め-適正な対応と実務-」(労務行政)など多数。

瓦林道広
野中・瓦林法律事務所。
福岡大学法科大学院修了。第一東京弁護士会労働法制委員会労働契約法部会副部会長。日本弁護士連合会労働法制委員会委員。主に企業の労務問題、契約問題等を取り扱う。労務問題においては、企業の労務管理全般に関する法律相談や労働審判対応が多い。そのほか、各種交渉案件、一般民事事件も手掛ける。中小企業経営者、人事・労務担当者向けセミナー講師も担当。
主な著書として、「改正労働契約法の詳解」(労働調査会、共著)、「決定版!問題社員対応マニュアル」(労働調査会、共著)、「定額残業制と労働時間法制の実務」(労働調査会、共著)、「チェックリストで分かる 有期・パート・派遣社員の法律実務」(労務行政、共著)、「民法を中心とする人事労務六法入門」(労働新聞社、共著)、「変化する雇用社会における人事権」(労働開発研究会、共著)等。

池田知朗(第3章執筆)
第一芙蓉法律事務所。明治大学法学部法律学科卒業。東京大学法科大学院終了。第一東京弁護士会労働法制委員会労働契約法部会副部会長。経営法曹会議会員。労働法学会会員。労働審判・労働訴訟等の事件対応、団体交渉等の組合対応、日常的に生じる人事労務問題に対する相談対応を専門としている。
主な著書として「ビジネスガイド」(「相談室」非正規社員)日本法令(連載執筆 2014年度~2016年度)、「ビジネスガイド」(「相談室」就業規則)日本法令(連載執筆 2017年度~現在)、「事例式 人事労務トラブル防止の手引き」新日本法規(事例執筆)等。

吉田哲郎(第1章執筆)
明治安田生命法務部。企業内弁護士。東京大学法学部卒業。1987年明治生命保険(現明治安田生命保険)入社。同社在籍のまま、1999年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了、2002年司法試験合格、2006年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2014年金融犯罪対策室長。2016年から上席法務役として勤務。主要論文として、「純粋持株会社解禁と労働法上の諸問題」(季刊労働法188号114頁)、「海外留学費用返還に関する合意の性質と労働基準法十六条」(季刊労働法204号232頁)、「生命保険会社における改正債権法への実務対応」(金融法務事情2088号6頁)等。その他、金融法務事情の「営業店コーナー実務相談室」等を担当。

西頭英明(第5章執筆)
弁護士、ニューヨーク州弁護士、元東京国税不服審判所・国税審判官、経営法曹会議会員。
2004年慶應義塾大学法学部法律学科卒業、2006年東京大学法科大学院修了、2007年弁護士登録(旧60期)。2016年University of California, Berkeley, School of Law(LL.M. Traditional Track)卒業。第一芙蓉法律事務所所属。主な著作・論文等として、「最新 労働紛争予防の実務と書式」(新日本法規出版、共著)、「最新裁判例にみる職場復帰・復職トラブル予防のポイント」(新日本法規出版、共著)、「退職金・退職年金をめぐる紛争解決事例集」(新日本法規出版、共著)、「企業実務に役立てる!最近の労働裁判例27」(労働調査会、共著)、「最新 有期労働者の雇用管理実務」(労働開発研究会、共著)、「公務員弁護士のすべて(LexisNexis、共著)、「The Employment Law Review – 9th Edition (Japan Chapter)」(Law Business Research、共著)、「裁判例や通達から読み解くマタニティ・ハラスメント-引き起こさないための対応実務」(労働開発研究会、共著)、「SNS公式アカウント運営者のための企業の信頼失墜を防ぐ 法的リスク・炎上対策」(第一法規、共著)など。

平田健二(第4章執筆)
明治大学法学部卒業、中央大学法科大学院修了。平成26年弁護士登録。安西法律事務所所属。第一東京弁護士会労働法制委員会委員。

河本みま乃(第6章執筆)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業、立命館大学法科大学院修了。平成26年弁護士登録。番町総合法律事務所所属。日本弁護士連合会労働法制委員会会員・事務局員。経営法曹会議会員。第一東京弁護士会労働法制委員会会員。主に経営側の人事労務案件、刑事事件、家事事件などを取り扱う。

中川洋子(第2章執筆)
早稲田大学国際教養学部卒業、東京大学法科大学院修了。平成27年弁護士登録。榎本・藤本総合法律事務所所属。経営法曹会議会員。第一東京弁護士会労働法制委員会委員。企業法務(人事労務法、会社法、コンプライアンス・ガバナンス等)に関する紛争予防、知的財産法(著作権法、IT関連法)、一般民事事件、刑事事件などを取り扱う。

小林譲二(第8章発言者)
新潟県上越市生まれ。早稲田大学法学部卒業。1984年弁護士登録(36期・第一東京弁護士会所属)。日本労働弁護団常任幹事、第一東京弁護士会労働法制委員会副委員長・外国法関係部会長、早稲田大学法科大学院教授。
価格 2,750円(本体2,500円+税) 数量

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