不法就労外国人が労災申請 技能実習先から逃走、事故

 低賃金に耐えかね実習先から逃げ出した元技能実習生のベトナム人男性(23)が、偽造の在留カードを使って広島県の建設会社で働いていたところ、岡山県の現場近くで交通事故に遭い重傷を負ったとして、3月に和気労働基準監督署(岡山県)に労災申請したことが27日、分かった。労基署は取材に「受理し、審査している」としている。
 男性が働いていた広島県福山市の「実森組」は取材に「仕事と事故は無関係」と答え、労災を否定。男性は下半身まひの後遺症があり「労災が認められるのを祈っている。在留資格を取り、仕事を見つけたい」と話す。
 男性や支援する広島市の地域労働組合「スクラムユニオン・ひろしま」によると、男性は2019年1月に来日し群馬県の実習先で働き始めたが、契約の半額以下である月6万~7万円しか受け取れず、言葉も分からないまま半年後に逃走。在留資格を失い、20年4月に外国人が集まる職場があると知り、実森組で働き始めた。兵庫県上郡町のアパート1室で同僚らと暮らした。
 事故が起きたのは20年7月23日朝。日本人の運転で同僚らと岡山県赤磐市のソーラーパネル設置現場へ向かう途中、車が電柱に衝突。背骨を折る重傷を負い、約3カ月入院した。
 同社は取材に、事故は「仕事ではなく休みの日の移動だった」と説明。不法就労の疑いには「偽造の在留カードに気付けなかった」と話した。
 男性を保護している労組の土屋信三委員長は「仕事に向かっていたのは明白。会社は不法就労が表沙汰になるのを恐れている」と指摘。「失踪した実習生は、生きるためにどんな会社でも働くしかない。実習先でも逃走先でも労働力として搾取される」と話し、技能実習制度を根本的に見直す必要性を訴えた。

 

提供:共同通信社

(2021年4月27日)
 

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