コロナで広がる外部出向 雇用維持の新たな手法に

 新型コロナウイルスの感染拡大で業績が悪化した航空会社を中心に、人手が不足しているグループ外の企業に社員を出向させる動きが相次いでいる。リストラをせずに人件費を軽減できる新たな雇用維持の手法として定着するか、注目される。
 「出向は企業留学。チャンスととらえてほしい」。家電量販店ノジマの野島広司社長は16日、横浜市内のホテルで開いた研修で、不安な表情を浮かべる航空会社からの出向者に語り掛けた。
 ノジマは在宅勤務の広がりを受けパソコンなどの販売が好調で、2020年9月中間決算は大幅増益だった。野島氏は出向受け入れの狙いについて「航空もうちもサービス提供という点で同じ領域だ。彼らのホスピタリティがうちに伝わればいい」と話した。
 全日本空輸を傘下に持つANAホールディングスは固定費削減のため、来年春までに400人を外部に出向させる。ノジマのほか、三重県などの自治体も受け入れる。国際線の大幅減便が続く中「あらゆる施策を行うことで雇用を守る」(片野坂真哉社長)方針だ。
 日本航空も600人規模で宅配便大手ヤマトホールディングスや教育機関に出向。背景にはコロナ後は需要が急速に戻るとの想定がある。いったん解雇すれば再び人材を集めるのに時間がかかり、旅客の回復に対応できない。日航は10年の経営破綻で整理解雇を実施。その後の需要拡大期に人手不足に陥った経緯がある。
 こうした動きは航空業界以外でも広がる。三菱重工業は行き詰まるジェット旅客機事業や火力発電事業などの3千人について、一部はグループ外への出向を検討。外食大手ワタミは人材派遣会社を設立し、介護や農業分野に1万人を派遣する。

 

提供:共同通信社

(2020年11月18日)

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