労働判例ジャーナル69号(2017年・12月)

■注目判例

通常の労働者と同視すべき短時間労働者の退職金等の請求の可否

一般財団法人京都市立浴場運営財団事件
京都地裁(平成29年9月20日)判決

■ポイント

 本件は,一般財団法人京都市立浴場運営財団(以下,「本件財団」という。)の正規職員が未払い退職金を請求し,また,短時間労働者である嘱託職員が,退職金が正規職員にのみ支給されることがパートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)に違反しているとして退職金を請求するなどをした事案である。
 本件において注目すべきは,嘱託職員が正規職員と同視すべき短時間労働者であると判断され,正規職員に支給される退職金が支給されないことがパートタイム労働法違反(2014年改正前の旧8条1項)とされたことである。
 本件は,パートタイム労働法の旧規定の適用解釈に関する事案であり,また,比較的容易に「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」と認定できたので,理論的には大きな問題を提起するものではないが,具的的な適用例として参考となると言えよう。 

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目次

◆ 通常の労働者と同視すべき短時間労働者の退職金等の請求の可否

一般財団法人京都市立浴場運営財団事件

京都地裁(平成29年9月20日)判決

◆ 大学教員に対する賃金減額の可否

学校法人札幌大学事件

札幌高裁(平成29年10月4日)判決

◆ 同和差別発言に基づく退学処分無効学生の地位確認請求認容

公立大学法人A大学事件

名古屋高裁(平成29年9月29日)判決

◆ 損害保険の不正請求と懲戒解雇の可否

富士火災海上保険事件

大阪地裁(平成29年9月28日)判決

◆ 特別な諸手当の基礎賃金該当性の有無

大阪内外液輸株式会社事件

大阪地裁(平成29年9月28日)判決

◆ 起訴休職満了後の解雇無効地位確認等請求

国立大学法人B大学事件

大阪地裁(平成29年9月25日)判決

◆ 社会保険未加入に基づく損害賠償等請求

中元設備工業事件

大阪地裁(平成29年9月21日)判決

◆ 退職金規定に基づく未払退職金等支払請求

栗本産業事件

大阪地裁(平成29年9月15日)判決

◆ 元警察官らの人格権等侵害に基づく損害賠償請求

熊本県・熊本県警察事件

福岡高裁(平成29年9月15日)判決

◆ 定年後の雇用継続に基づく地位確認等請求

西日本電信電話事件

大分地裁(平成29年9月14日)判決

◆ パソコン破損等に基づく懲戒解雇等無効地位確認請求

社会福祉法人朝日新聞厚生文化事業団事件

東京高裁(平成29年9月13日)判決

◆ 教員の家庭訪問の公務及び通勤該当性の有無

公務外認定処分取消請求事件

甲府地裁(平成29年9月12日)判決

◆ 掲示物撤去に対する不当労働行為救済命令取消請求

静岡県・静岡県労委(東海旅客鉄道)事件

最高裁第三小法廷(平成29年9月12日)決定

◆ 飲食店出店資金のための貸金返還等請求

貸金返還等請求事件

大阪地裁(平成29年9月8日)判決

◆ フランチャイザーに対する未払賃金等支払請求

ナカヤコーポレーション事件

大阪地裁(平成29年9月8日)判決

◆ 職務命令違反を理由とする減給処分の可否

大阪府教育委員会事件

大阪高裁(平成29年8月31日)判決

◆ 違法な免職処分に対する損害賠償等請求

深浦町事件

青森地裁(平成29年8月25日)判決

◆ 心臓性突然死に基づく遺族補償給付等不支給処分取消請求

国・宮崎労基署長(心臓性突発死)事件

福岡高裁宮崎支部(平成29年8月23日)判決

◆ わいせつ行為に基づく津市等に対する損害賠償等請求

津市事件

津地裁(平成29年8月10日)判決

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